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スウィートちゃんの物語(7)

今回はスウィートちゃんが主役です。

 あぁ……

 おじいしゃまが倒れて頭を打つのは絶対に嫌だけど、世界の宝のヒヨコ様が潰れてしまうのも嫌よ!

 って……

 え?

 どういう事?

 まるで時間が止まっているかのように、皆が動かない?

 わたしだけが動けるみたい。

 これならおじいしゃまを助けられるわ!   

 不思議だけど……

 もしかしたら改心したわたしを神様が見ていて助けてくれた……とか?


「おじいしゃま……今助けるから……うーん……ダメだわ。身体を引っ張っても全然動かない……ヒヨコ様なら軽いから動かせるかしら? あぁ……ダメだわ。床にくっついているみたいに動かない」


 どうしたらいいの?

 どうしたら……

 あ、そうだわ。

 時間が動き始めたら、わたしがおじいしゃまの下敷きになればいいのよ。

 それと、ヒヨコ様を潰さないように四つん這いになってしっかり守るの。

 そうすれば、おじいしゃまもわたしの上に倒れてくるし怪我も少なくて済むはずよ。

 よし!

 準備万端よ!

 いつでも倒れてきて!

 これでわたしにアザができようが血が出ようが、そんなのはどうだっていいわ。

 おじいしゃまとヒヨコ様が無事ならそれでいいの。

 さあ、早く倒れてきて!


「あ、危ないよ」


 ……?

 ペリドットの声?

 時間が動いたの?


「んん? スウィートちゃんは、そんなところに四つん這いになってどうしたんだ?」


 この声はヨシダさん?


 ……え?

 おじいしゃまが倒れてこない?


「……? スウィートはどうしたんだ?」


 ヒヨコ様が、四つん這いになっているわたしを見上げている。


「あ! おじいしゃま!」

 

 慌てて、おじいしゃまの方を見ると……

 え?

 ペリドットがおじいしゃまをお姫様抱っこしている!?

 どれだけ怪力なのよ!

 ってそうじゃなくて……


「おじいしゃま! 大丈夫!?」


 あぁ……

 青白い顔をしてぐったりしている。

 どうしよう。

 このまま死……

 嫌よ!

 絶対に嫌!


 ペリドットが、おじいしゃまをベットに寝かせるとヨシダさんが脈を調べている?


「うーん……興奮し過ぎたんだなぁ。年齢の事もあるし。二、三日は安静にした方がいいだろう」


「ヨシダさんは、お医者様なの?」


「まぁ、そんなようなもんだなぁ。スウィートちゃん……これが最後のじいちゃん孝行になるかもしれねぇぞ?」


「ええ!? まさか……死……そんなの嫌よ!」


「こらこら、縁起でもねぇ。そうじゃなくて、王妃になったらスウィートちゃんはアルストロメリアの民の母親になるんだ。もう今みてぇにじいちゃんには甘えられなくなるかもしれねぇんだ。分かるか?」


「……覚悟は……していたつもりだけど……おじいしゃまのこの姿を見たら……」


「王妃になりたくなくなったか?」


「……それは」


 そうじゃない。

 そうじゃないけど……

 こんな弱々しいおじいしゃまを見たら心が痛くなってしまって……


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