スウィートちゃんの物語(6)
今回はスウィートちゃんが主役です。
「孫はかわいいよなぁ。その気持ちは、よぉく分かる。でもなぁ……じいちゃんがスウィートちゃんと一緒に宮にいたら、かわいいかわいい孫のスウィートちゃんがリコリス王国の間者だって勘違いされちまうかもしれねぇぞ?」
あ……
ヨシダさんの言う通りよ。
そんな事は考えもしなかったわ。
それで、おじいしゃまはその提案を聞いた時に険しい顔をしていたのね。
「……わたしもそれを考えていた。はぁ……リコリス王国では誰に憎まれてもまるで気にならなかったが、スウィートちゃんの事となれば話は別だ。わたしがアルストロメリアに残ればスウィートちゃんが処刑される日がくるかもしれない。それだけは避けねば……」
おじいしゃま……
そこまでわたしを想ってくれていたのね。
「かわいい孫を手放したくねぇ気持ちはよぉく分かるぞ? でも、幸せになろうとしてる孫の邪魔をしちゃいけねぇんだ。子供も孫も、いつかは新しい家族を作って幸せに暮らす日がくるんだからなぁ」
「そうだな……そうだ……分かっていてもつい口を挟みたくなってしまう。いつまでも赤ん坊の頃のスウィートちゃんではないのに……はぁ……わたしは悪いおじいしゃまだなぁ」
おじいしゃまが悲しそうな顔をしている……
あんな顔は、させたくないのに。
「そんな事はないわ! おじいしゃまは、いつだってわたしの幸せを考えてくれるもの!」
いつだってわたしの一番の味方だったんだから!
「スウィートちゃん……すっかり大人になって……」
「おじいしゃま……」
言葉とは裏腹に寂しそうにしている……?
「おじいしゃまは使節団の役目に戻るよ……」
え?
こんなにすんなり?
「おじいしゃま? 本当にいいの? もしかしたら……もう二度とこんな風に『スウィートちゃん』って呼べなくなるかもしれないのに……」
「おじいしゃまは……胸を張って言えるよ。今まで、スウィートちゃんを世界で一番愛していたのは、このおじいしゃまだとね。だから……悔しくて苦しくて堪らないが……この幸せを……スウィートちゃんを一番に愛する権利をアルストロメリア王に譲……譲……やっぱりダメだぁぁぁ! 譲る事などできるかぁぁあああっ!」
「……!? おじいしゃま!? 落ち着いて! そんなに興奮したら身体に悪い……ああっ!?」
おじいしゃまが倒れた!?
興奮し過ぎたのかしら。
このままだと床に頭を打ってしまうわ!
……!?
違う。
ヒヨコ様の上に倒れそうよ。
このまま倒れたらヒヨコ様がつぶれてしまう!




