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スウィートちゃんの物語(5)

今回はスウィートちゃんが主役です。

「ふふ。スウィートちゃんは王様の身分じゃなくて内面に惹かれたんだね?」


 ペリドットが嬉しそうに尋ねてきたわね。


「……そうよ。陛下はいつも民の事ばかりで、自分の事は後回しなの。そんなのダメよ。夜も寝ずに民の幸せを考えるのは確かに立派よ? でも、それで身体を壊したら誰も幸せにはなれないわ!」


「そうだね。それでスウィートちゃんが王妃様になって支えようとしているんだね」


「……ええ。わたしはリコリスにいた頃のわがまま令嬢ではないの。今はアルストロメリアの歴史を学んで立派な王妃になれるように励んでいるのよ。だから、魔術戦にも行かなかったの」


「そっか。ふふ。勉強嫌いだったのに。王様の為なら嫌いな勉強も頑張れるんだね」


「そうね。勉強は大嫌いだったけど……今は目標があるから」


「目標?」


「陛下を支えられる立派な王妃になりたいの。シャムロックのココみたいになれるように頑張りたいのよ」


「なれるよ。スウィートちゃんならなれるよ! 愛の力は偉大だね」


「愛の力? 恥ずかしいわ」


「でも、どうやって王様にすり寄ってきた令嬢達に勝ったの?」


「勝った……? ふふ。そんなの簡単よ。令嬢達を集めて陛下の素晴らしさを一晩中語ったの。もちろん眠る事は許さなかったわ。一人ずつ順番に陛下の素晴らしさを挙げていったの。次々に脱落していく令嬢達の姿を見て思ったわ。地位や名誉が欲しいだけの愚か者に陛下は渡さないって!」


「あはは! それで最後に残ったのがスウィートちゃんだったんだね」


「まぁ、それだけではないけど……」


「え? 他にも何かしたの?」


「陛下が……」


「ん? 王様が?」


「令嬢達が集まる部屋に入ってきてこう言ったの」


「え? 何? 何っ?」


 ペリドットがわたしの話に瞳を輝かせている。

 友とする恋の話はこんなに楽しいのね。

 もっと早く……

 リコリス王国アカデミーで仲良くなれていたら……

 でも、全部わたしが悪かったのよね。

 これからも、ペリドットとこんな風に話せたら楽しいのに……

 

「『スウィートちゃん以外を王妃にはしない。スウィートちゃんの瞳は夜空の星よりも美しい。スウィートちゃんの髪は絹のようになめらかで……』って、翌日の朝までわたしへの愛を語ってくれたの。他の令嬢達はいつの間にかいなくなっていたわ」


「あはは……皆は呆れちゃったのかな?」


「呆れた? 違うわ! わたし達の愛には入り込めないと気づいたのよ!」


「ふふ。素敵だね。この事をリコリスのお兄様は知っているの?」


「あ……確かに。わたしは一応使節団の一員だから。 陛下? リコリス王には……」


「知らせてきたよ。かなり驚いていたけど、喜んでいたよ。使節団には戻らなくていいからこのままアルストロメリアに残るようにと言ってくれたよ」


「……これでわたし達の障害はなくなったのね。……おじいしゃま以外は」


 おじいしゃま……

 さすがにもう立ち上がっているわね。

 もう床に寝転がって、ジタバタしないで欲しいわ。


「その事だけどなぁ。スウィートちゃんのじいちゃん……」


 えっと……

 確かヨシダのおじいさん?

 だったかしら?

 でも、若くておじいさんには見えないけど……


「……何かな?」

 

 おじいしゃまが、わたしと陛下の間に入り込みながら尋ねているわね。


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