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かわいいと得をするって本当だよね

「ちょっと待てよ! カルメヤキは!? じいちゃんが作ってくれるって言ったんだ!」


 あぁ……

 すっかり忘れていたよ。

 ベリアルの、この様子だと食べないと空間移動をしてくれないだろうね。

 

「ヒヨコ様! なんとありがたいお言葉だ! すぐにできますからね?」


 おじいさんも嬉しそうだし食べてから行こうかな?


 おじいさんがお玉に砂糖と水を入れると火にかけて、すりこぎでかき混ぜている。

 コンロとかは無いけど炭を使っていて、群馬のバーベキューを思い出すね。

 魔法石は身分の高い人間しか使えないらしいし、不便な事もあるだろうけど市場の人間達は皆楽しそうに笑っているね。

 便利な暮らしに慣れ過ぎている自分が恥ずかしいよ。


「このお玉を火から外して……ヒヨコ様、見ていてください?」


「なんだ? なんだ? どうなるんだ? おお! 膨らんだぞ?」


 ふふ。

 膨らんだカルメ焼きに興奮して、つぶらな瞳をキラキラ輝かせているね。

 ベリアルは本当にかわいいね。

 神様が授けてくれた聖獣か。

 皆に大切にされているベリアルを見るのは嬉しいな。

 天界では辛い思いをしていたみたいだからね。


「なんでだ? 砂糖と水しか入れてないのに」


 くぅぅ!

 首を傾げてかわいいよ!


「さっき使ったすりこぎに重曹がつけてあって、それを入れるとなぜか膨らむんですよ?」


「ふぅん。不思議だな? これもう食べていいのか?」


 ろくに聞いていないね。

 食べる事で頭がいっぱいなんだろうね。

 かわい過ぎるよ!


「もう一度火にかけて……はい、もう食べられますよ? あぁ……まさか神様のペットにカルメ焼きを作れるなんて。幸せです」


「あつっ! カリッ! あまぁぁぁい! うまぁぁい!」


 うわあぁ!

 カルメ焼きを食べるベリアルもかわいいね!

 ベリアルのかわいさに市場の人間達がメロメロになっているよ。

 その気持ち、すごくよく分かるよ。

 ベリアルは超絶かわいいからね!


「ヒヨコ様! わたしの店のパイも食べてください!」

「かわいいヒヨコ様の為にマントを作らせてください!」

「オレの作ったスープを飲んでください!」


 おぉ……

 ベリアルは人気者だね。

 マントを着けたベリアルか……

 想像しただけで鼻血が出そうだよ。


「ヒヨコ様は幸せそうだなぁ」


 吉田のおじいちゃん?

 忍び装束の頭巾から見える瞳が嬉しそうだ。


「そうだね。ベリアルはどこに行ってもかわいがられるんだよ?」


「そうか、そうか」


「……おじいちゃんはいつもヒヨコちゃんを気にかけているよね?」


「そうだなぁ。かわいいからなぁ」


「……そっか」


 吉田のおじいちゃんは『かわいいから』なんて理由で簡単に助けたりしないからね。

 何かあるんだろうけど、訊いても教えてはくれないだろうし。

 でも、幸せそうなベリアルを見て笑っている吉田のおじいちゃんの瞳がすごく優しくて……

 見ているわたしまで嬉しくなるよ。

 

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