スウィートちゃんの物語(3)
今回はスウィートちゃんが主役です。
「えっと……確か『ハチミツ大好きブンブンピヨちゃん。ハチさん変身セット』だったかな? あれ? 『ハチさんの服がピチピチピヨちゃん。ムチムチでかわいいね』だったかな?」
陛下がお土産の説明をしてくれているけど……
「ふふ。わたしは後者の方が好きよ?」
「ははは。スウィートちゃんのぬいぐるみにちょうどいい大きさの服を買ってきたからね。一緒に着せてみる?」
「うん!」
こうして陛下と一緒にハチさんの服を着せたけど……
「ははは! かわいいハチさんのできあがりだね」
「うわあぁ! ぴったり! ふふ。かわいい……やっぱりヒヨコ様はムチムチね」
「そうだね。わたし達の子も……こんなにかわいいのかな?」
「……! 恥ずかしいわ」
「知っているかな? ヒヨコ様の存在が世界中に知れ渡ってから、妊娠する女性が増えたらしいんだ」
「……? なぜ?」
「ヒヨコ様のようにかわいい赤ん坊を欲しくなるみたいだよ?」
「……ふふ。確かに、ヒヨコ様はかわいいから」
「スウィートちゃん……」
陛下が真剣な表情でわたしを見つめている?
「……陛下?」
「口づけ……してもいい?」
……!?
くくくくく……口づけ!?
口づけっ!?
ここで『うん』って言ったら、はしたないかな?
でも……
本当は、したくてしたくて堪らないのっ!
ダメよ!
がっついたらダメよ!
おしとやかに、恥ずかしそうにしないと……
「……はい」
これでいいのかしら?
何が正解か分からないわ。
鼻息が荒くならないように気をつけないと……
「スウィートちゃん……正式に王妃になるのは半年後だけど……王妃になるのは気が重いかもしれないけど……わたしの伴侶になると決めてくれてありがとう」
「……陛下」
あ……
陛下の顔がゆっくり近づいてきた。
初めての口づけ……
ドキドキがどんどん速くなる。
「スウィートちゃんっ!」
……!?
この声は……
「おじいしゃま!?」
いきなり部屋に入り込んできた!?
「はぁはぁ……スウィートちゃんっ! ダメダメっ!」
無理矢理わたしと陛下の間に割り込んできた!?
もう少しで口づけができたのに!
「おじいしゃま!」
心配なのは分かるけど、邪魔だけはしないで!
「嫌だ嫌だあ! スウィートちゃんとは結婚させないいい!」
……!?
おじいしゃまが床に寝転がってジタバタし始めた!?
大国リコリスの公爵だったのに……
どれだけわたしの事が好きなの!?




