スウィートちゃんの物語(2)
今回はスウィートちゃんが主役です。
「わたしは使節団の中にいるスウィートちゃんに一目惚れしたんだ。少し前のわたしは自分に自信が無くてね。でもペリドット様のおかげで今のように心から笑えるようになったんだよ。スウィートちゃんはわたしの砂糖菓子……かな?」
陛下が頬を赤く染めながら優しく話しているけど……
「砂糖菓子?」
わたしが砂糖菓子?
「甘くて口に含むと幸せになる」
「口に含むと幸せに?」
なんだか恥ずかしい表現だわ。
でも、嬉しい。
わたしが砂糖菓子……か。
「そうだよ。スウィートちゃんは名の通り、甘くてかわいい素敵な女性だよ」
……!
陛下が頬に口づけした!?
今までは髪を撫でたり手を繋いだり抱きしめたりするだけだったのに。
ドキドキが速くなって頭がクラクラする……
「陛下……あの……」
ダメだわ。
なんて言ったらいいのか分からない。
「スウィートちゃんを他の誰かに渡したくなくて毎日思いを伝えたよね? 覚えているかな?」
「忘れるはずないわ。祖父が激怒して絶対にわたしを王妃にはしないと暴れ出して……あの時は本当にごめんなさい」
「いいんだよ。それだけスウィートちゃんを愛しているという事だからね。わたしはスウィートちゃんを誰よりも幸せにするから。約束するよ。側室は迎えない。わたしの愛しい人は生涯君だけだ」
「陛下……」
「スウィートちゃんは、どうしてわたしの元に来てくれたの? ……わたしが大国の王だから?」
陛下が悲しそうに尋ねているけど……
「……そうではない事は陛下が一番良く分かっているでしょう?」
わたしの陛下への愛は身体中から溢れ出しているんだから。
犬だったら尻尾がちぎれそうなくらい揺れているはずよ……
「意地悪な質問だったね。すまない。わたしは君よりもずいぶん年上だし、君は宝石よりも美しいから不安になるんだよ」
「わたしは……幼い頃からずっと家族に甘やかされてきて……というよりは溺愛されてきたの。アルストロメリア王国に来て陛下に出会って気づいたの。普通に愛を語るような人では満足できないと……身体ごとぶつかってくるくらいじゃないと物足りないと」
「はは。そうなんだね。……うん。だったら自信があるよ。わたしは永遠に君を溺愛するよ。永遠に君に愛を囁いて、永遠に君を笑顔にし続ける。だから永遠にわたしだけを見つめてくれるかな?」
「……! わたし……それだけは自信があるわ」
「……幸せになろうね」
「陛下と一緒ならわたしはいつでも幸せよ?」
「ははは! わたしもだよ」
「あ、そういえば今日ヒヨコ様のぬいぐるみを洗濯する洗濯師? が来るとか」
「そうなんだよ。スウィートちゃんのぬいぐるみも綺麗にしてもらおうね。あ、そうだ。リコリス王国限定のヒヨコ様の服を買ってきたよ」
「え? 限定の服を? 嬉しい!」
すごい人気で全然手に入らないのに……
陛下はいつもわたしの喜ぶ事をしてくれる。
毎日、朝昼晩花を差し出しながら愛の言葉を囁いて、慣れない地で寂しいだろうって眠るまで髪を撫でてくれて。
忙しいはずなのに、本当に素敵な人だわ。
リコリス王国の陛下のように見目麗しくはないけど、愛らしい容姿で……
何よりも家族以外でこんなにわたしを愛してくれる人は他にはいないわ。




