大好きな第三地区(14)
「まさか! 口で勝つんだよ。天界からの使者に手は出さない……つもりではある……かな?」
たぶんだけど……
「お前……大丈夫だろうな? 使者を殴るなんて問題になるぞ?」
吉田のおじいちゃんに抱っこされているベリアルがかなり呆れているみたいだけど……
「ベリアル……わたしを誰だと思っているの?」
「……? ぺるみだろ?」
「うん! そうだよ! わたしはぺるみ。冥王ハデスの妻……ペルセポネだよ!」
「……だからなんだよ?」
「まぁ……あのハデスの妻だから多少殴るくらいなら大丈夫かな? なんて……」
「バカ! そんなはずないだろ! 大問題だ!」
「ええ? 少しくらい大丈夫だって。冥界をリゾート地にしようとしている奴らに、これ以上好き勝手させないんだから!」
「冥界をリゾート地にする? バカな奴らだな。ハデスの耳に入ったら即、暗殺されるぞ?」
「そうでしょ? それに比べればわたしに二、三回殴られるくらいなんともないよ」
「いや、お前怪力だよな? 一発殴られたら終わりだろ」
「嫌だなぁ。わたしは、か弱い女の子なんだからあり得ないよ。あはは!」
「おい……本当にダメだぞ!? 誰かぺるみを止めてくれぇぇ!」
くうぅ!
慌てるベリアルも超絶かわいいねっ!
「あ、冥界に行く前にベリアルをひと吸いして元気を注入しないとね」
そうと決まれば……
よし。
ベリアルは油断していたようだね。
簡単に抱っこできたよ。
「は!? うわあぁ! やめろぉ! 誰か助けてくれぇ!」
「ぐふふ。ひと吸いでいいんだよ。ふた吸いはしないからさぁ」
「うわあぁあん! 変態に捕まったよぉ! 誰か助けてくれぇ!」
「スーハースーハー……堪らないね……ぐふふ」
「ふた吸いしてるじゃないかぁぁぁ! 嘘つきめ!」
ぐふふ。
ベリアルはカスタードクリームみたいな色だけど、うどんの匂いがするね。
このかわいいくちばしでうどんをチュルチュル食べたのかな?
ぐふふ。
ぐふふふ。
「ぺるみは相変わらずだなぁ」
「そうですねぇ。異世界の精霊に任せようとしていた仕事もぺるみ様に回しましょう」
「ははは! ベリス王は根っからの商売人だなぁ」
「ぺるみのモフモフ愛は尽きねぇなぁ」
「『冥王ハデスの妻ですが今日もモフモフ愛が止まりません』ってか? ははは!」
「なんだ、そりゃ? ははは!」
「『変態ぺるみだから今日もベリアル吸いが止まりません』じゃねぇんか? ははは!」
皆好き勝手な事を言っているね。
って……
もう行かないと本当に間に合わないよ!
空間移動するくらいの神力はありそうだね。
よし!
「皆! いってきますっ!」
この世界に来たばかりの頃は幸せの島でパパとママとじいじと暮らしていたけど……
今ではこんなに家族が増えたんだね。
優しくて温かい家族……
大好きな家族!
これからも賑やかで楽しい生活が続きそうな予感がするよ!
これで本編は少し休憩になります。
これから先は番外編を数十話挟んでから本編に続いていこうと考えています。
2022年8月に『異世界で、人魚姫とか魔王の娘とか呼ばれていますが、わたしは魔族の家族が大好きなのでこれからも家族とプリンを食べて暮らします~ルゥと幸せの島~』を初投稿して、2023年から今作が始まりました。
小説を書くのは初めてで、これで良いのか悪いのか何も分からずにここまで来ましたが、ペルセポネ達の物語にお付き合いいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
これからは今までの登場人物が主役になる物語を数十話投稿していきたいと考えています。
それが終わるとペルセポネが主役の今作がエンディングに向かって動き出します。
これからもペルセポネ、第三地区、魔族、天族、人間達の賑やかな日常の物語をよろしくお願いいたします。




