表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/1484

こうしてニホンの姫とヒヨコ様が誕生した

「さて、姫様。ヒヨコ様のお力で蚕に会いに行きましょう」


 吉田のおじいちゃん?

 空間移動は眩しくて目が開けられないくらい光るよね?

 さっきその光は神様の心だって言っちゃったんだよ?

 ベリアルが空間移動して光ったら疑われちゃうよ。

 嘘をつくと、ばれないようにさらに嘘をつかないといけないんだね。


「市場の皆は目を閉じていてくれ。眩しいからなぁ。さぁ姫様、ヒヨコ様、行きましょう」


 市場のおばあさんが抱っこしていたベリアルを、おばあちゃんが抱っこする。


「眩しくなるんですか?」


 市場のおばあさんがおばあちゃんに尋ねているね。

 どうしよう。

 わたしが余計な事を言っちゃったから辻褄が合わなくなっちゃったよ。


「ヒヨコ様は神様のペットなんだ。この国で言う『聖獣』だなぁ。姫様は聖女だった頃に、神様からヒヨコ様を授けられた。ヒヨコ様は空間移動ができるんだ。でもそれには神様の力が必要になる。さっきは神様の心で眩しかったけどなぁ。ヒヨコ様が特別な力を使う時にも光るんだ」


 おばあちゃんまでスラスラと嘘をついているよ。

 わたしのせいで嘘をつかせてごめんね。


「このかわいいヒヨコが……ヒヨコ様がそんなすごい力を持っているなんて!」

「呼び捨てなんてダメだ! 『様』をつけよう!」

「ヒヨコ様は神様のペット!? すごい!」

「聖女様は神様に愛されているんだ! だからペットを授かったんだ!」


 なんだか大変な事になってきたね。


「あ……皆、わたしが聖女で王妹だっていう事は、まだお兄様には秘密にしたいの。だから、わたしの事はペリドットって呼んで欲しいの」


「ペリドット殿下ですね? 分かりました!」


 市場の相談役の瞳が輝いているね。


「あのね? 殿下って呼ばれるのに慣れなくて……どうしようかな?」


「では、姫様ではいかがですか?」


 おあいちゃん?

 確かに魔族にはそう呼ばれていたし、呼ばれ慣れてはいるけど。


「そうだなぁ。時代劇に出てくるのは『王女』じゃなくて『姫様』だからなぁ」


 おばあちゃんの言う通りだね。

 群馬では、おばあちゃんと一緒に時代劇の再放送を観ていたよね。

 懐かしいな。

 いつの間にか吉田のおじいちゃんと、田中のおじいちゃんだったお父様も上がり込んで、こたつでみかんを食べたっけ。


「うん。じゃあ『姫』って呼んで欲しいな。これからは『蚕でギャフンと言わせちゃおう作戦』を一緒に頑張ろうね! よろしくね、皆!」


 こんな風にこの世界の人間達と関わる事になるなんて想像もしていなかったけど。

 ワクワクするんだ!

 アカデミーも坊っちゃんも大変な事だらけだけど、楽しい事がたくさん起こりそうな予感がする。

 

 魔王をしているお父さんが言ってくれたんだ。

 ココちゃんやアンジェリカちゃんを守りながらアカデミーも楽しんで欲しいって。

 群馬の高校も卒業できなくて、たぶんアカデミーも卒業前に辞めちゃうだろうけど、もう一度学生に戻れるんだ。


 友達と楽しく過ごしながら勉強をして……

 そんな生活ができるなんて嬉しいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ