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大好きな第三地区(6)

「ばあば!? これって……」


 どうして、人化したばあばの身体に翼があるの?


「ふふ。わたしの身体を天界から持ってきてもらったの」

 

 じゃあ、天界にあったイナンナの身体っていう事?

 ばあばが微笑んでいるけど……

 

「でも、嫌だったんじゃ……」


 イナンナの身体に戻りたくないからドラゴンの姿のままでいたんだよね?


「そうねぇ。でも……ほら、ヨータが言ったから」


「ピーちゃんが? もしかして『真実の口』の力の事?」


「ふふ。そうよ。『アルベキ、スガタニ……イルベキ、バショニ……モドルンダ! 』ってね」


「モウ! ハズカシイカラ、マネシナイデヨ!」


 真似されたピーちゃんがプリプリ怒っているね。

 

「ふふ。いいじゃないの。なかなか素敵だったわよ?」


 ばあばはピーちゃんをからかっているんだね。

 相変わらずだよ。


「でも……群馬の集落にいたイナンナの魂はどうなったの?」


「あらあら。ペルセポネはわたしの事が分からないの? 親友だと思っていたのはわたしだけだったのかしら?」


「……え? 親友……? イナンナ!? え!? じゃあ、まさか……」


「ふふ。わたし達、上手く融合できたみたいよ?」


「……じゃあ……ばあばもイナンナも消えずに済んだの?」


「ヨータのおかげよ。あるべき姿に戻れたの。それから……ペルセポネ……ありがとう。あの世界を守る為にヨータに神力を使わせたのね」


「ばあば……イナンナ……無事でよかった。二人とも消えなくてよかったよぉ……うぅ……うわあぁぁぁん!」


 泣きながら、ばあばに抱きつくと……

 うわ……

 お酒臭っ!


「あらあら。涙が引っ込んだみたいね。ふふ」


「いっぱい飲み過ぎていつもみたいに暴れないでね?」


「残念ながらドラゴンの姿には、なれないのよ。(今はね……)」


「そうなの?」

 

 ん?

 小声で何か言った?

 気のせいかな?


「これからは、この姿で暮らしていくわ」


「ブラックドラゴンのおじいちゃんはどうなったの?」


「え? 彼なら……ほら、あそこでモフモフ達に囲まれているわよ。彼は優しいからずっと相手をしているの」


 あぁ。

 モフたん達に甘えられているんだね。

 って……


「……!? ちょっと待って!? おじいちゃんにも翼があるよ!? しかも髪色が違うし!」


 ブラックドラゴンの設定だったから人化していた時は髪色を黒くしていた……とか?

 そういえば、まだわたしがルゥだった頃……

 お父様が遥か昔の浮遊島を見せてくれた時のおじいちゃんも黒髪じゃなかったよね。

 おじいちゃんはブラックドラゴンの設定をずっと守っていたんだね……

 すごいよ。


「ふふ。だからさっきも言ったでしょ? ヨータの力であるべき姿に戻ったのよ。と言うよりは、ヨシダさんやおばあさんが天界の大天使達に話してくれたらしくてね。天界に出入りしない条件付きで彼の身体を返してくれたの。彼の身体に関してはヨータの力というよりはヨシダさん達のおかげね。わたしだけ天族の身体に戻ったら、ブラックドラゴンの姿の彼がかわいそうだと思ったらしくて」


「そうだったんだね」


「ペルセポネ……」


「うん……?」


「遥か昔に戻った気分よ。でも……あなたはあの頃とはまるで違うわ。あなたはうさちゃんを抱っこしながらいつも辛そうに微笑んでいたから」


 あぁ……

 本当にイナンナなんだね。

 そうか。

 あの頃のわたしはそんな風に見えていたんだね。

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