大好きな第三地区(2)
「ルーチャン……カラダノ、ドコガ、ツライ?」
ピーちゃんが心配そうに尋ねてくれたけど……
「うーん。筋肉痛は治ったの。でも、なんだろう……モヤモヤするっていうか……ザワザワするっていうか。上手く言えないよ」
「シンリョクガ、スクナク、ナッタ、カラカナ?」
「そうなのかな? 筋肉痛がなくなったからモヤモヤを感じるようになったみたいだけど……身体の中を血が巡るのが分かる……みたいな? 今まではそんなの感じた事がなかったから、変な感じだよ」
「ソレッテ、シンリョクガ、カラダヲ、メグッテ、イルッテ、コトカナ?」
「うーん……どうなんだろう。でも本当に助かったよ。今日は冥界での初仕事なの。午後からは洗濯もあるし」
「……? センタク? エット……? センタクッテ?」
「ああ。人間達がベリアルのぬいぐるみを持つのが流行っていてね。清潔に保てるようにって洗濯師の仕事を始めたの」
「ヘエ。ソレデ、センタクカ。ステキナ、シゴトダネ」
「えへへ。ありがとう。それにしても島中お酒の匂いがすごいね」
「ウン。ボクタチガ、キタ、トキニハ、モウ、コンナ、カンジ、ダッタヨ」
「こんな感じ? うわ……身体が痛くてよく見ていなかったけど、これ……何の宴なの? 皆、変なテンションになっているよ」
皆で広場に集まって、すごく楽しそうにお酒を飲んでいる。
ベリアルとゴンザレスと聖獣王は夢中でお菓子を食べているね。
第三地区の皆は大笑いしながら歌ったり踊ったりしている。
あ、おばあ様が嬉しそうにハデスのかわいい自慢をしているよ。
元々、野田のおじいちゃんの中にいたから第三地区にすっかり馴染んでいるね。
でも、その事を皆は知っているのかな?
ん?
見た事がない綺麗な女性がいる。
この世界の人間じゃなくて日本人みたいだけど……
誰だろう?
「ピーちゃん? あの綺麗な女性は誰? うーん……でも、どこかで見たような……」
「アア……アレハ……」
ん?
ピーちゃんが話しにくそうにしている?
うーん……
どこで見たんだっけ?
「あ! そうだ! まだ群馬にいた頃……わたしが小学生くらいの時に観ていたドラマに出ていた女優さんだ!」
っていう事は……
まさか……
「ボクノ……オカアサン、ダヨ……」
「おばちゃん……元々綺麗だったけど……」
好きな姿になれるって知って、あの女優さんにしてもらったんだね。
「……コッチニ、キテ、ジジョウヲ、ハナシタラ、アノ、スガタニ、ナリタイッテ、タダヲ、コネテ……」
「駄々をこねた? そうだったんだね。でも、野田のおじいちゃんも嬉しそうにしているね」
「ウン。オカアサンガ、サイゴニ、コノセカイニ、ツレテ、コラレル、タマシイ、ナンダネ」
魂を選別するみたいで嫌だけど、そうなるんだね。




