激痛とペルセポネと吉田のおじいちゃん(4)
「よし、ゆっくり立ち上がれ」
吉田のおじいちゃんがわたしに触れると……
……!?
大量ではないけど、少し多めの神力が流れ込んできたのが分かる。
「うぅ……身体が……痛い……」
さっきよりも身体が痛いよ。
「立てなそうか? 痛そうだなぁ。うーん……あ、そうだ。うさちゃんみてぇにソファーに寝たまま移動するか?」
「うさちゃんみたいに? でも……うさちゃんならかわいいから許されるけど、わたしがやったら偉そうに見えないかな?」
「そうだなぁ。どうしたもんかなぁ」
「やっぱり、無理矢理立たせて? ピーちゃんの治癒の力で治らなければしばらくは痛いままだろうから。立ち上がるしかないよ」
「そうか? じゃあ無理矢理立たせるぞ。せーの!」
「痛たたた! 痛いっ!」
うぅ……
なんとか立てはしたけど……
歩くのは不可能だね。
座ったらもう立てなそうだし、ずっと立っているしかなさそうだよ。
「じゃあ、ぺるぺるはずっと立ったままなんか。うーん。あ、そうだ。じいちゃんの神力でぺるぺるを少し浮かせて、まるで歩いてるかのように移動させてやる。どうだ?」
「え? いいの? 助かるよ。裾の長いドレスを着れば歩いているように見えるよね」
「そうだなぁ。でも、それには着替えねぇといけねぇなぁ。お月ちゃんの家に冥界で着る黒いドレスがあるんだろ?」
「うん。……はぁ。なんとかして着替えないと。想像しただけで恐ろしいよ。身体中痛くて指一本動かす事もできないのに」
「陽太の治癒の力が効けばいいけどなぁ」
「……うん」
「それにしてもハデスちゃんは起きねぇなぁ。こんなに騒がしいんに」
「そうだね。でも、かわいい寝顔だよ。痛たた……」
「そうだなぁ。ハデスちゃんは、かわいいかわいい孫だからなぁ。もちろんデメテル達もかわいいけどなぁ」
「ハデスは寝かせたままで、わたしとうさちゃんだけ第三地区に連れていってくれるかな? 良い夢を見ているみたいだし」
「そうか? よし。じゃあ、うさちゃんはソファーに移動して一緒に行くか……ってもうソファーで寝てるなぁ」
「いつの間に……でも、うさちゃんはフカフカのソファーで気持ち良さそうに寝ているね。すごくかわいいよ」
「そうだなぁ。ぺるぺるの赤ちゃんも、こんな風にかわいいんだろうなぁ」
「わたしの赤ちゃん……か。わたしとハデスの赤ちゃんは無事に産まれるのかな?」
「……不安か? 魂が無い子が産まれそうで……」
さすが吉田のおじいちゃんだね。
わたしの気持ちをよく分かっているよ。




