激痛とペルセポネと吉田のおじいちゃん(2)
「うーん……ぺるぺるは残念さんだなぁ。第三地区には陽太が帰ってるんだ。陽太に治癒の力を使ってもらえばいいだろ」
吉田のおじいちゃんはそう言うけど……
「この全身筋肉痛みたいな症状は治癒の力で治るの?」
「治るんじゃねぇか? 筋肉痛は筋肉に小さい傷ができてそれを治す為になんたらかんたらって聞いた事があるぞ?」
「でも、これって筋肉痛なの? 神力不足とか無理矢理神力を使ったからとかじゃないの?」
「うーん……治癒の力を使ってみりゃ分かるんじゃねぇか? じいちゃんにもよく分からねぇんだ。筋肉痛なら治るし、治らなきゃそのままだしなぁ」
「うぅ……でも、わたしのこんな姿を見たらピーちゃんが申し訳なく思っちゃうかも」
「陽太は優しいからなぁ。そうかもしれねぇなぁ」
「やっぱり、一回身体を動かしてみるよ。自力でなんとかしてみる」
「そうか、そうか。ぺるぺるは難しい事を考えるのが苦手だからなぁ」
「もう! お父様と一緒にしないでよ!」
「ははは! そうか、そうか」
「よし! 立ち上がるよ!」
とりあえず一旦座ってから立ち上がろう。
……!?
痛たたたた……
ダメだ。
少しでも身体を動かすと電気が走ったみたいに痺れるよ。
「ダメそうだなぁ」
「うん……でも不思議だよね。どうして自分自身には治癒の力を使えないんだろう?」
「んん? そりゃぺるぺるの神力を流し込んで治癒の力を使うんだからなぁ。元々ぺるぺるの身体にある神力だろ? どうやって自分に治癒の力を流し込むんだ?」
「それもそうだけど……でも、わたしの身体に入り込んだ魔素を浄化できた事があったよ?」
「ん? 治癒と浄化は違うんだろ? じいちゃんにもよく分かんねぇなぁ。じゃあ試しに治癒の力を自分に使ってみたらどうだ? 今までは自分の傷を治せねぇと思い込んでただけかもしれねぇしなぁ。ほれ、人間のルゥの身体の時にはできなかったけど、ぺるぺるに戻った今ならできるかもしれねぇぞ? って言っても今は無理だろうなぁ。神力がほとんど残ってねぇからなぁ」
「確かにそうだね……」
「でも……安心しろ! ジャジャーン! なんとじいちゃんが天界の隠し部屋から神力ちゃんを連れてきてやったぞ! えっへん!」
「えっへん……? 吉田のおじいちゃんはお父様にそっくりだね。しかも神力ちゃんって……」
「ははは! オレが天ちゃんにそっくりなんじゃなくて、天ちゃんがオレにそっくりなんだ」
「まぁ産まれた順番はそうだけど……」
「ほれ、受け取れ」
受け取れ?
隠し部屋から持ってきた神力を?
「……? どう受け取ればいいの?」
わたしには分からないよ。
いつも無意識に繋がっているみたいだし。




