激痛とペルセポネと吉田のおじいちゃん(1)
「うぅ……身体中痛いよ……」
ベットから転がり落ちたまま立ち上がれないよ。
これが従魔を通して力を使うっていう事なの?
「それは違うなぁ」
……!?
吉田のおじいちゃん!?
いつからいたの!?
「おじいちゃんが、わたしを群馬に連れて行ったんだよね?」
「そうだなぁ。ぺるぺるは身体が辛いだろ」
「……でも、違うって、何が違うの?」
「普通は従魔にあんなに力を使わせねぇからなぁ」
「……? よく分からないよ」
「ぺるぺるは、向こうの世界の時間を陽太がいた頃まで戻したんだ」
「それって……あ、そうか。さっきピーちゃんがそう言ったから……」
「そうだなぁ。『真実の口』の力……か。でも、その力で時間を戻したって言っても結局ぺるぺるの力を使ったからなぁ」
「神力を使い過ぎて身体が痛いっていう事なの?」
「普段だったら自分で加減しながら神力を使うからそれほど身体に負担がかからねぇんだけどなぁ。今回は陽太が、流れ込んだ神力をどんどん使っちまったんだ」
「そうか。ピーちゃんは創り物の身体だから無理をしても平気なんだね」
「今、ぺるぺるの身体に残ってる神力はほんの少しなんだ。まぁ、あの世界の時間を二十年近く戻したんだ。当然だよなぁ。でも、ぺるぺるだからできたんだ。無限に近い神力……それは本当だったんだなぁ」
「……! そんな……じゃあ、わたしの神力で天界を浮かばせる事ができなくなったの?」
「それは違うなぁ。あの隠し部屋から神力が少しずつ流れ込んでるし、旨い物を食ってぐっすり眠ればすぐに回復するはずだ。なんせ、ぺるぺるの神力はすごいからなぁ」
「安心したよ。おばあちゃんを苦しみから解放してあげられなくなるかと思った……」
「まったく……ノート泥棒したぺるぺると、今のぺるぺるが同一人物だとは思えねぇなぁ」
「うぅ……泥棒した事は心から反省しているよ」
「怒っちゃいねぇさ。ぺるぺるなら途中で思いとどまると思ってたからなぁ」
「わたしを信じてくれていたんだね。それなのに……わたしはバカだよ」
「それにしても、ぺるぺるはずっとうつ伏せに倒れたままだけど……起き上がれねぇほど身体が辛いんか?」
「うん。指一本動かすのも無理そうだよ」
「そうか、そうか。残念だなぁ。第三地区でレアーがハデスちゃんの『かわいい自慢』をしてるんだけどなぁ」
「……え? そうなの? わたしも聞きたいよ」
「でも、その身体じゃ無理そうだなぁ。ぺるぺるは今日から冥界の仕事が始まるんだろ? 大丈夫なんか? 午後からは洗濯師の仕事もあるんだよなぁ?」
「あ……そうだった。うぅ……どうしよう」
「どうしようなぁ?」
「あ! そうだ!」
「んん? 何か思いついたんか?」
「うん! こういう時は無理矢理身体を動かすんだよ! ほら、一回動けばその後は普通に動くかも」
よし!
頑張って立ち上がってみよう。




