表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1337/1484

ペルセポネとベリアルと霧の森(8)

「ふふ。そうよ。ペルセポネは元気そうね。うさちゃんは、いないの?」


 本当にイナンナなんだね。


「イナンナ……わたし……ずっとずっと謝りたかったの……」


「その話は後で聞くわ。ペルセポネ……今はあの子の話を聞きましょう?」


「あの子……? ピーちゃんの事……?」


「ボク、タチハ、モウ、カエラナイト、イケナインダ。アノ、セカイニ……ダカラ……コレカラハ、コノ、セカイニ、イキル、ミンナデ、コノ、セカイヲ、マモラ、ナイト、イケナインダ! ボクタチ、ムコウノ、セカイニ、イルベキ、ソンザイハ、カエラナイト、イケナイカラ」


 ……ピーちゃん。

 その言い方だと今すぐ向こうの世界に帰る事になっちゃうよ。

 イナンナ達はあと一年はこの世界にいるつもりなのに……

 この世界の精霊達も、向こうの世界に帰る事になるのかな?

 どうしよう。


「アルベキ、スガタニ……イルベキ、バショニ……モドルンダ!」


 ……!?

 身体がフワフワする。

 それと同時に関節がギシギシ音を出す。


「うう! 痛い!」


 わたしの神力がピーちゃんに流れ込んでいるのが分かる。

 身体が、ちぎれそうなくらい痛い……


「ぺるみ! 大丈夫か!? うわあぁ! 身体が浮かんだ!」


 ベリアルの慌てている声が聞こえてきたけど……

 うつ伏せに倒れたまま動けないから何も見えないよ。


「ベリアル……大丈夫!?」


 うわ!

 わたしも身体が浮かび始めた!?

 でも、それよりも身体中が痛いよ。



 身体がフワフワ浮かんでいるけど……

 ……って!

 

「痛ああぁぁぁあい!」


 腰くらいの高さから落ちた!?

 重力を感じるよ。

 ただでさえ痛い身体が、さらに痛む……


 ……?

 あれ?

 ここは……

 冥界の寝室?

 夢……

 だったのかな?

 ベットから落ちたから変な夢を見た……とか?

 

 ……!?

 絶対夢なんかじゃないよ!

 身体がちぎれそうなくらい痛いっ!


「うぅ……」


 ベットの下に、うつ伏せのまま倒れて動けない。


「ン……? ペルセポネハ、カエッテ、キタノカ」


 うさちゃんが、ベットの上からわたしを見つめている?


「うさちゃん……帰ってきたって何? うぅ……身体が痛いよ」


「アイツガ、ムカエニ、キタ。ネテイル、ペルセポネヲ、グンマニ、ツレテ、イクト、イッテイタ」


「あいつって……吉田のおじいちゃんだよね?」


「ソウダ」


「やっぱり夢じゃなかったんだ」


 じゃあ、さっきまでの事は全部現実?

『真実の口』の力が、ピーちゃんの願いを叶えたのなら……

 ピーちゃんやイナンナの魂、それからばあば達も『人間と魔族の世界』に帰って来ているっていう事だよね?

 でも、どこに?

 ドラゴンの島?

 やっぱり吉田のおじいちゃんがいる第三地区かな?

 

 行かないと。

 第三地区に行かないと!

 でも……

 身体が痛くて動けないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ