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ペルセポネとベリアルと霧の森(6)

 ピーちゃんは、何を話そうとしているんだろう?

 それにしても巨大なモニターだね。

 もしかして世界中の空に同じようなモニターを創り出したのかな?

 ブラックドラゴンのおじいちゃんならできそうだけど……


「ミンナ……キイテ? ボクハ、コトリ、ダケド……コノセカイヲ、アイシテ、ルンダ。ズットズット、カエッテ、キタカッタ。ボクハ……コノセカイニ、ウマレテ、シンダ。ソシテ、イセカイデ、ユウシャヲ、シテタンダ」


 ピーちゃんの話す声が震えている。

 

「おい! ぴよ太が話したぞ!」

「ぴよ太が勇者?」

「どうなってるんだ?」


 集落の皆が騒いでいるね。


「ヒサシブリニ、カエッテ、キタラ、コノ、セカイハ……オワリヲ、ムカエヨウト、シテイタ……ボクハ、ソレガ、カナシカッタ。ズット、カエッテ、キタカッタ、コノセカイニ、モウ、イキモノガ、スメナク、ナル、ナンテ」


 ピーちゃん……

 そうだよね。

 勇者になって、死ぬと鳥になって、また勇者になって……

 それを繰り返しながらずっとこの集落に帰りたいって願っていたんだよね。


「ヨータ……」


 ベリアルがモニターに映るピーちゃんを辛そうに見つめている。

『陽太お兄ちゃん』を集落から連れてきて勇者にしたのはベリアルだから……


「ボクハ……ホワイトドラゴン、タチニ、ハナシタンダ。コノセカイヲ、スクイタイッテ……」


 ピーちゃん……

 頑張って……

 いや、違うね。

 陽太お兄ちゃん頑張って!

 この世界の人間達に陽太お兄ちゃんの気持ちを伝えて!


「絶対……絶対に伝わるから……陽太お兄ちゃんの気持ちは絶対に伝わるから……頑張って!」


 あ……

 空気が振動した?

 まさか、わたしの中にある『真実の口』の力が発動したの?


「オネガイ、ダカラ……オネガイ、ダカラ、コレイジョウ、コノ、セカイヲ、キズ、ツケナイデ! ボクノ、タイセツナ……ダイスキナ、コノ、セカイヲ、アイシテヨ!」


 ……!?

 何……!?

 地震!?

 違う。

 大地が一度だけ揺れたんだ。

 首飾りの『真実の口』の力が使われたから……だよね?


 でも……

 何も起きないよ?

 空はモヤモヤして薄暗いままだし……

 何かが変わった感じもしない。

 あぁ……

 そうか。

 陽太お兄ちゃんは、これ以上この世界を傷つけないでって言ったんだ。

 つまり生き物が住める世界に戻して欲しいとは言わなかった。

 あぁ……

 陽太お兄ちゃんの首飾りが砕けて消えたね。

 もう首飾りの『真実の口』の力は使えなくなったんだ。


「……ソンナ。ボク……シッパイ、シタノ? アア……」


 モニターに映る陽太お兄ちゃんが震えているのが分かる。

 でも……

 まだ……

 まだだよ。

 わたしの中にも『真実の口』の力はあるんだから!

 さっき、空気が振動した時にわたしの中の『真実の口』の力が使われたんだ。

 わたしは陽太お兄ちゃんの気持ちが皆に伝わって欲しいって願った……

 だから陽太お兄ちゃんの気持ちは絶対に伝わるんだ!

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