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ペルセポネとベリアルと霧の森(3)

「分かった。でもここに残るのは危ないかもしれないからベリアルはバスケットに入って? 一緒に行こう」 


 今離れたらもう会えなくなるような気がするのはどうしてだろう……


「そうか? 分かった。なんだ? 薄暗いけど夜なのか? やたら寒いな。ん? なんでバスケットの中にオレのぬいぐるみが、ふたつも入ってるんだ?」


 ベリアルが、ぬいぐるみの間に割り込みながらバスケットに入ったけど……

 くうぅ!

 ヒヨコちゃん三兄弟みたいで激かわだよっ!


「ぐふふ。この森で拾ったんだよ。それにしても……うーん、夜にしては明るいね。変な空だし。っていうよりは……なんだろう……気味が悪い空だよ」


「ああ。そうだな。第三地区の綺麗な空とは大違いだ」


 ん?

 あれ?

 この森……

 見覚えがあるような……?


「……え? ここって……」


 間違いない……

 あそこにある木でできた道しるべ……

 棒切れを振り回しながら山で遊んでいた時に、わたしとお父様で作った物だよ。

   

 ここは、群馬の集落だ……!

 ブラックドラゴンのおじいちゃんが創った温泉がある山!

 久しぶりだ……


「ん? ぺるみはどうかしたのか?」


 ベリアルがバスケットからわたしを見上げている。


「ベリアル……しっかりバスケットに掴まっていて」


「……? 分かった」


 よく知っている山を走って下りると……

 やっぱり!

 集落の家が見えてきた。

 もう来る事はないと思っていたのに……


 吉田のおじいちゃんは、どうしてわたし達をここに連れてきたんだろう?


 あれ?

 さっきまでは、普通の身体だったのに今は透けている?

 これって……?


「おい! ぺるみ! 誰かいる気配がするぞ!」


 え?

 誰かの気配?

 って……

 ベリアルの身体もバスケットも透けている!?


「ベリアル!? 身体が透けているよ!?」 


「え? あ、確かに。これは魂……か?」


「魂? じゃあ、わたし達……死んだの?」


「は? なに言ってるんだ? ぺるみはヨータの魂を見た事があるだろ?」


「あ……うん。それは見たけど……」


「うーん……」


「ベリアル? どうかしたの?」


「……いや、上手く説明できないけど……」

 

「うん? 話して……?」


「ヨシダのじいちゃんか、ばあちゃんがやってるんだろうな」


「え? おじいちゃん達が? なんの為に?」


「さぁな。オレには分からない。魂を入れたり抜いたりできるのは、かなり高位の天族だけだし……それに、これは魂じゃない。今のオレ達は身体が透明になってるだけみたいだな。いきなりこんな事ができるのは、じいちゃんか、ばあちゃんくらいだろ?」


「まさか……誰にも気づかれずに群馬で見せたいものがあるとか? そういえば……」


「何か知ってるのか?」


「え? あ……うん。ピーちゃんの……陽太お兄ちゃんのお母さんの体調が悪いらしいの」


「そうなのか!?」


「うん。ハデスのお母さんに教えてもらったの」


「……? どうしてそこにハデスの母ちゃんが出てくるんだ?」


「それは……あ!」


 あれは集落の集会所だ!

 懐かしいなぁ。

 何も変わっていないよ。

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