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ペルセポネとベリアルと霧の森(2)

「ベリアルは、ここがどこだか分かる?」


 ……?

 返事がないね。

 あ……

 夢中でクッキーを食べていて聞こえないんだ。

 よほどお腹が空いていたんだね。


「ベリアル……落ち着いて食べてね。それにしても霧が濃いね。『人間と魔族の世界』……なのかな?」


「ん? モグモグ……知らないな。モグモグ。こんな所は『人間と魔族の世界』にはなかったぞ?」


 ベリアルは落ち着いたみたいだね。

 身体の震えも止まったみたいだし。

 うーん。

 ベリアルはあの世界を旅行しているからよく知っているんだよね?

 じゃあ、ここは天界なのかな?

 いや、天界にはこんな森はないはずだよ。

 ……冥界?

 でも、ベリアルは入門申請書を出さないと入れないから違うよね。

 うーん?


「まぁ、吉田のおじいちゃんが創り出した空間っていうのが一番近いのかな?」


「だろうな。モグモグ……でも、なんでこんな事をしたんだ? モグモグ」


「分からないけど……パンとクッキーを持たせてくれたんだから……ピクニック……とか? それは違うかな……うーん。とりあえず空間移動で帰ろうか」


「いや、ぺるみは、やめておけ。さっきオレがやったらできなかったんだ」


「え? 空間移動ができなかったの?」


「そうだ。オレができないのに、空間移動をやり始めたばかりのぺるみが無理してやったら身体が裂けるかもしれないぞ?」


「……! そんな……」


 怖過ぎるよ。

 

「モグモグ……ふぅ。ごちそうさまでした! よし。満腹だ!」


 仰向けに寝転がりながら気持ち良さそうにしているね。

 ぐふふ。

 超絶かわいいよ!


「ねぇ。ベリアルは目が覚めたらこの森にいたの?」


「ん? そうだな。霧が酷くて前が見えなくて、この木の下でじっとしてたんだ」


「え? ちょこちょこ動き回っていなかった?」


「こんな濃い霧の中を動いたら危ないだろ」


「……じゃあ、わたしが見たあのベリアルみたいな子は誰だったの?」


「怖……お前……変な物でも見たんじゃないか?」


 まさか……

 オバケ!?

 わたし、そういうのダメなんだよ。

 でも……


「ベリアルにそっくりなオバケなら大歓迎かも……ぐふふ」


 たぶん、わたしをベリアルに会わせる為に吉田のおじいちゃんがぬいぐるみを動かしていたんだろうね。


「オバケ? なんだ、それ? あ……霧が薄くなってきたぞ!」


「え? あ、本当だ。木の隙間から景色が見えてきたね。これで、ここがどこなのか分かるかも」


「よし! オレは満腹で動けないからぺるみが見てきてくれ!」


 やっぱり食べ過ぎで動けないんだね。

 普通なら遭難したら食べ物は少しずつ食べないといけないのに、全部食べちゃったよ。


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