ベリス王は商売上手だけど、やり手過ぎて怖いよね
気絶しているハデスを冥界まで空間移動で連れていき、ベットに寝かせる。
青白い顔をしているね。
大丈夫かな?
冥界に空間移動しても門の外にしか着けないんだよね。
一旦門をくぐってからもう一度寝室まで空間移動したけど……
うーん。
力持ちなのは知っていたけどハデスを軽々と抱っこできるほどだったとは……
ヘラの怪力を吸収したっていう事らしいけど、わたしはどれくらいの重い物を持てるのかな?
あ、ケルベロスにうさちゃんをお願いしていたんだった。
迎えにいかないとね。
こうしてハデスを寝室に残して外に出ると……
ケルベロスが気持ち良さそうに眠っている。
「ペルセポネ……」
うさちゃんは起きていたんだね。
フカフカのソファーからわたしを見つめている。
「ケルベロスを寝かせてあげたの?」
「ソウダ。アタマガ、ミッツモ、アルト、ナヤミゴトモ、フエル、カラナ。オレノ、チカラデ、ネカセテ、ヤッタンダ」
「そう。ありがとう。ふふ。良い夢を見ているみたいだね。じゃあ、ケルベロスを空間移動で連れていくね。さすがにここで寝かせるわけにはいかないし」
「ソウカ。オレハ、ココデ、マッテイル、カラナ。メイカイハ、カイテキナ、キオント、シツドダナ。ココチイイ」
「ふふ。そうだね。幸せの島は暑いからね。あ、そうだ。うさちゃんはお昼寝する島をかなり気に入ったみたいだね」
「ソファーモ、ベットモ、フカフカデ、キモチイイ、カラナ」
「うさちゃんは、身体は平気? 辛くない?」
魔法石は砕けたりしないよね?
「ダイジョウブダ。トクニ、ツラクハ、ナイ。……ネムクナッテキタ」
うさちゃんがソファーでウトウトし始めている。
ベリス王から贈られたフカフカソファーが気持ちいいんだね。
「安心したよ。じゃあ、ケルベロスを寝かせてくるね」
こうして空間移動でケルベロスの部屋に入ったけど……
大きいベットだね。
場所は知っていたけど入ったのは初めてだよ。
ジロジロ見たら失礼だけど、あまり物がないんだね。
ん?
なんだろう?
枕元に紙が置いてある。
ベリス王との契約書にかわいい肉球が押してあるけど、この内容って……
「薬の作り方を教わる報酬としてベビー用品を贈る? ……え? 薬の作り方?」
確かにケルベロスは薬に詳しいけど……
ケルベロスが第三地区に遊びに来ていた時にいつの間にか契約していたの?
しかもベビー用品って、わたしとハデスの赤ちゃんの物だよね?
まだ妊娠してもいないのに。
ベリス王はわたしが知らない間に、どんどん商売を広げていっているんだね。
ケルベロスは冥界の門番として天族から恐れられているのに、ベリス王にいいように使われているみたいだ。
天族からも魔族からも恐れられているハデスもベリス王には騙されてばかりいるし。
人間の王様だって船を贈っていたよね。
ベリス王が魔王になったら皆の生活の質も向上するだろうし、良い事ばかりなんじゃないかな?




