レアーおばあ様とペルセポネ(8)
「ばれなければ大丈夫って……?」
おばあ様は、さすがハデスのお母さんっていう感じだよ。
「ふふ。かわいいハデスちゃんだって暗殺やらなんやらしているけど、ばれないから大丈夫でしょう? 上手くやれば大丈夫なのよ。ふふ」
おばあ様もハデスにだけ『ちゃん』をつけるのかな?
息子が暗殺ばかりしているのに怒りもしないんだね。
「そういうものなの? わたしはノートを盗んでから、ずっと心が痛かったよ」
「あら? へぇ……学長とジャックのノートを持ってきたのね。ふふ」
「心の声を聞いたの?」
「わたしは、ゲイザー族達とは違って、一瞬で深層心理まで聞こえてくるのよ」
「そうなの? すごいね。でも……おばあ様は怒らないの? 孫のわたしが泥棒をしたのに」
「そうねぇ。群馬だったら怒ったはずよ? でも、ここは群馬ではないし。天界ではそんな事は日常茶飯事なの。だから常に油断してはダメよ?」
「……そうなの?」
「そう考えると冥界が一番穏やかなのかもしれないわね」
「……うん。冥界は皆が穏やかに暮らしているよね。あ、ケルベロスは疲れ果てているけど」
「それも明日からは、かなり良くなるはずよ。わたしのかわいいペルセポネが女帝と呼ばれる日も近いわね。ふふ」
「女帝!? えへへ。わたし、かっこいい女性に憧れているの。雪あん姉と、おあいちゃんは筋肉がすごくて強くて皆に優しくて……かっこいいよね」
「ふふ。ペルセポネならきっとそういう大人になれるわよ」
「大人? わたしはもう何千年も生きているから大人だよ?」
「あらあら。ふふ。わたしから見ればまだまだ赤ん坊よ? ゆっくり大人になりなさい。天界にいた遥か昔から、ペルセポネは子供らしくできなかったでしょう? これからは皆に甘えてわがままをたくさん言いなさい」
「わがままを? そんな事はできないよ」
「皆、喜ぶはずよ?」
「皆? ベリアルも?」
「……え?」
「皆っていう事はベリアルもだよね? ぐふふ。甘えてわがままを……ぐふふ。ぐふふふ。吸ってこねくり回して……かわいいパンみたいな翼を甘噛みしてもいいっていう事だよね? くうぅ! 堪らないよっ!」
「……いや、それは違う……でも……いかがわしい想像をして頬を赤らめるペルセポネも激かわだわっ! くうぅ!」
……おばあちゃんの言う通りだ。
おばあ様からわたしみたいな、ど変態の匂いがしてくる。
まるで自分を見ているかのような気分だね。
「変態が二人に増えた……こりゃあ、明日からはさらに大変な事になるなぁ」
おばあちゃんが呆れているね。
「まぁまぁ、いいじゃねぇか。これからは毎日レアーを抱きしめられるんだからなぁ」
吉田のおじいちゃんは、嬉しそうに笑っているけど……
最近はずっとご機嫌だよね。
おじいちゃんが笑っていると、わたしまで嬉しくなってくるよ。




