レアーおばあ様とペルセポネ(6)
「ベリアルが陽太の魂を入れる為に粘土で創った身体……あれは魔族になるように創った身体だったの」
おばあ様が真剣な表情で話しているけど……
「……? そうだったの?」
どうして、そんな昔の事をおばあ様が知っているのかな?
その頃にはもう『人間と魔族の世界』に来て魚族長の中に入っていたの?
でも、そうだとしてもピーちゃんの身体を魔族になるように創った事をどうして知っているんだろう。
ベリアルは光と闇が入り混じった空間にいたはずだよね?
「陽太は小さな鳥として目覚め、勇者の母親からの愛を受けると聖獣シームルグになる。そして赤ん坊が産まれるとその身体に憑依する……それをずっと繰り返していたの」
「……うん。ピーちゃんもそう言っていたよ……」
「今は小さな鳥の姿だから魔族に分類されるの。だから、まだ従魔契約は続いているのよ」
「……そうなの? でも……何か悪い事が起こるわけじゃないんだよね?」
「うーん……そうねぇ。ペルセポネは陽太に悪い事をさせようとしていないから……でも……」
「……でも?」
「従魔は主人の力を使う事もできるのよ? もちろん主人が望めばだけど。媒体みたいな感じかしら」
「媒体?」
「離れた場所にいる従魔に主人の力を使わせる……みたいな?」
「……それはピーちゃんの身体の害にはならないの? わたしの強過ぎる神力でピーちゃんが爆発したりしないの?」
「そうならない為の従魔契約よ?」
「……! そうか……それなら、時間を戻すわたしの力を使って向こうの世界の生き物以外の時を戻せば……」
「ふふ。ペルセポネは賢いわね。学校の勉強は、さっぱりだったけど……」
「……もう! 野田のおじいちゃんの中から見ていたんだね!?」
「ふふ。でも、それは最終手段よ? そんな事をしても向こうの世界の生き物達は『世界の危機がいつの間にか消えた』なんて勘違いして、またあの世界を滅亡へと導くわ?」
「確かに……じゃあ、どうすれば……」
「ふふ。じゃあ、かわいいペルセポネの為に最後のヒントをあげるわ?」
「え? ヒント?」
「ゼウスは群馬にも落とし物をしてきたのよ?」
「……え? まさか誰かが拾ったの? 大変な目に遭っていないかな?」
わたしは、ウリエルにうどんみたいな木の実を鼻から吸わされて酷い目に遭ったんだよ。
「あの世界は……一度は助かるはずよ」
「一度?」
一度ってどういう意味?




