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レアーおばあ様とペルセポネ(3)

「ふふ。問題ないわ。今頃わたしの魂が全て抜けて、本来の彼の姿に戻っているはずよ」


 おばあ様は笑っているけど……

 野田のおじいちゃんは群馬にいた頃はどんな感じだったかな?


「本来の野田のおじいちゃんに? うーん……群馬にいた頃のおじいちゃんは真面目で村議会議員とかもしていて……」


「そうねぇ。でも、その頃もわたしの魂は彼の中にいたのよ。真面目……それは彼の家の外での姿よね? 誰にでも内なる変態があるものよ」


「内なる変態? ……あれ? そういえば、野田のおじいちゃんの身体に入る前は違う誰かの身体にいたの?」


「ふふ。そうね。あの集落の人達はわたしの魂を受け入れられる身体だったから。……もう、向こうの世界には人が住めなくなるのね」


 おばあ様が悲しそうな表情になったけど……


「……うん」


 わたしにできる事はないのかな?

 このまま何もしないでいるのは悲しいよ。

 ペルセポネに戻った今のわたしなら何かできそうなのに。


「本当に生き物が住めなくなるのかしら?」


「……え?」


 おばあ様が真剣に尋ねてきたけど……

 もしかしてあの世界を助ける方法があるの?


「ふふ。ゼウスの落とし物は、あの世界にもあるのよ?」


「おばあ様、それって……?」


 天界の秘密の部屋にある、あの木の実とかの事かな?


「わたしは向こうの世界に魂だけを行かせる事ができるの……って、ペルセポネは知っているわよね」


「最近何かを見てきたの? 何か状況が変わっていたとか?」


「わたしもあの世界にずっといたの。だから、滅びないで欲しいと思っているのよ。でも、わたしが手助けをする事はないわ。それはよくない事だから。ほら、わたしは初代の神の娘で、今の神の母親だから。あの世界に関わり過ぎて、大天使達に『あの世界を消した方がいい』と思われる可能性も出てくるわ。……あとは、あの世界にいる生き物達に任せましょう」


「それって……向こうの世界の人達の事?」


「ふふ。向こうの世界には陽太ようたもドラゴン王達もいるわ。陽太は今は鳥の姿だけど、この世界では勇者として何度も魔王と戦ってきたの。ドラゴン王とブラックドラゴンもあの世界を大切に想っているわ。それからイナンナの魂もね」


「イナンナの魂……」


「ペルセポネ。あなたはもうあの世界の為に心を痛める必要はないのよ。あの世界はあの世界にいる生き物が守らなければいけないの」


「おばあ様……」


「信じましょう。ギリギリまで追い詰められないと自分達が置かれた状況は分からないものよ。そして、世界の終焉を感じた今だからこそあの世界の皆で協力して前に進む道を見つけるはず。この世界が変わろうとしているようにね」


「もう戦争をしなくなるの? 自分達の生活を豊かにする為に大地に無理をさせなくなるの?」


「欲は尽きないものよ。簡単には変わらないわ。でも、陽太が向こうにいるのは陽子が生きている間だけ。ドラゴン王達ももうすぐ帰ってくるわ。そうなればそれから先はあの世界にいる生き物だけで解決する事になるの」


 そんな事ができるのかな?

 魔力や神力が無いあの世界の人間達だけで解決するのは、かなり厳しそうだけど……

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