聖獣王ってかわいいね
「レアーは宮殿で寝てるからなぁ、デメテル達が着替えさせたりしに来てるんだ。たまたま、聖獣王がこの辺りをフラフラしてた時に『かわいい』ってお菓子やら果物やらをもらったらしくてなぁ。味をしめて毎日来るようになったんだ。いやぁ、すっかり飼い慣らされてるなぁ」
吉田のおじいちゃんが、聖獣王相手に好き勝手言っているね。
「……聖獣の王様なんだよね? お菓子で餌付けされるって、大丈夫なの?」
「ぷはっ! でも、デメテル達には懐いてるけど他の奴らが入ってこようとしたら、ちゃあんと阻止してるから大丈夫だ。見てみろ。ヘスティアが最高級の聖獣用のベットを用意したから快適そうだろ? ははは!」
「聖獣王は、よそ様の軒下で暮らしているの? 王様なのに?」
「いや、家はあるぞ。お菓子をもらったら家に帰るんだ」
「聖獣王……かわいいね」
「ははは! そうだろ? でも、怒らせると怖いから気をつけろ?」
「うん。分かった! 聖獣王、おばあ様を守ってくれてありがとう」
「キニスルナ。ウマイ、オカシガ、モラエレバ、ソレデイイ」
「あ……話せたんだね。ふふ。かわいいなぁ。あ、そうだ。ポケットにキャラメルがあったんだ。食べてみる?」
「キャラメル……? ナンダ?」
「甘くておいしいんだよ? チョコレートもあるけど、ワンちゃんだから食べたらダメだよね? あ、キャラメルもダメかな?」
「チョコレート? ナンダ、ソレハ?」
「幸せになる食べ物だよ? 甘くて口の中で溶けるの」
「タベタイ……ゴクリ」
「うーん……吉田のおじいちゃん? ワンちゃんはチョコレートを食べたらダメだよね? あ、でもピーちゃんも鳥だけど食べていたよ? 大丈夫だったのかな?」
「ははは! 犬とか鳥に見えても聖獣だからなぁ。大丈夫だ。でも、本物の動物には絶対にチョコレートを食わせたらダメだぞ? 毒だからなぁ」
おじいちゃんの言う通りだね。
「うん! 普通の動物には絶対に食べさせないよ! えへへ。聖獣王は初めてのチョコレートかな? ぐふふ。聖獣王の初めてをわたしが……ぐふふふ」
「……ナンダ? セナカガ、サムク、ナッタ……?」
聖獣王が何かを感じ取ったみたいだね。
今はベリアルもいないし、たっぷりモフモフを堪能させてもらうからね。
ぐふふ。
ぐふふふ。
「ぷはっ! ぺるぺるは本物の変態さんだなぁ。ははは!」
吉田のおじいちゃんは笑っているけど、おばあちゃんは真顔でわたしを見つめているね。
うぅ……
これは怒られる直前の予感……
「ぺるみの変態に既視感があったのは……レアーにそっくりだったからか……」
……?
おばあちゃんが呆れ顔で呟いたけど……
わたしの変態がおばあ様に似ているって言ったの?
それって、どういう事?




