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おばあ様はすごいんだね(2)

「お父様は、誰かを疑ったりしないから……」


 お母様の言う通りだね。

 クロノスおじい様ならそんな感じだよ。

 でも……

 クロノスおじい様は心の声が聞こえるんだよね?

 うーん……

 とりあえず今は、お母様とハデスの話を黙って聞いていよう。


「ねぇ、ハデス?」


 お母様がハデスに優しく話しかけたね。


「……? なんだ?」


「お父様とお母様は兄妹でしょう?」


 ええ!?

 天界は、きょうだいで結婚する事がよくあるんだね。

 クロノスおじい様とおばあ様も兄妹だったのか。

 群馬で暮らしていた記憶が濃いから驚いちゃうよ。


「だから、ガイアおばあ様はお母様の手助けをしていたようね」


「そうなのか。では……母上は今はノダのおじいさんの中にいるのか?」 


「あぁ……それは違うのよ」


「……? だか、ノダのおじいさんが母上なのだろう?」


「分かりやすく言えば、魂の一部を入れ込んだ……かしらね?」


「魂の一部を? そういえばデメテルも魂の一部をグンマに送っていたような事を言っていたな」


「そうね。ふふ。そのやり方はお母様に教わったのよ」


「母上に……? 魂は分けられるのか?」


「バニラちゃんも同じ事をしていたでしょう? オケアノスと二つに分かれて、今は別々になっているわ」


「そうだったな」


「魂を分けるのは危険が伴うのよ。だから、あまりやりたくはないの」


「デメテルは危なくなかったのか?」


「ふふ。大丈夫よ。お母様は宮殿にいるわ。そこから魂の一部をグンマや『人間と魔族の世界』に送っていたのよ」


「母上は、ゼウスやわたしをずっと見守っていたのか?」


「ええ。でも、魂を違う二つの世界に送りながら自分も普通に生活するのはかなり難しいのよ。だから、お母様はずっとベットで眠っているの」


「……そうだったのか」


「でも……もうそれも終わりにする時がきたようね」


「母上が母上として暮らす時がきたのか。見守っていたゼウスもわたしも本来の居場所に戻ったから……」


「ええ。そうね」


「では、グンマではノダのおじいさんの身体を使っていたのか?」


「ふふ。まぁ、簡単に言えばそうね」


「『人間と魔族の世界』では誰の身体を使っていたのだ? ヴォジャノーイ族の誰かなのか?」


「あぁ……それは……魚族長よ」


「……!? 魚族長!?」


「お母様がノダのおじいさんや魚族長の身体を動かす事はないの。ただ、思考が時々繋がる……混じる? そのくらいかしらね。お母様が出てくる事はないのよ」


「ノダのおじいさんや魚族長の目を通して周りを見ていたという事か?」


「まあ、そんな感じね。でも、お母様の感情が少しだけ混じるからハデスやゼウスの事が大好きだったはずよ?」


「そうだったのか。それで魚族長はわたしを恐れずに慕っていたのか」


「魂を他人の身体に入れ込むのは難しいのよ。人間や魔族に入れるのはさらに難しいはずよ。でも、魚族長はポセイドンの息子だし、ノダのおじいさんは天族の血を引いているから入りやすかったのね。まぁ、お母様はそれを知らずに入れそうな存在を見つけたんでしょうけど」


「なるほど……そうだったのか」


 魂を分ける……か。

 危険だと分かっていても愛する子供達を見守りたかったんだね。

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