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おばあ様はすごいんだね(1)

 ソファーで気持ち良さそうに眠っているうさちゃんをケルベロスにお願いして、ハデスと天界に向かう。


 どうしてハデスだけが母親の記憶を消されたんだろう?

 いつ消されたの?

 おばあちゃんか吉田のおじいちゃんが消したのかな?

 分からない事ばかりだよ。

 

「あら? ペルセポネ? ハデスも。どうかしたの?」


 お父様の執務室に入ると、お母様が尋ねてくる。

 あれ?

 お父様は椅子で眠っているんだね。

 

「お母様……」


 なんて訊いたらいいのかな?


「二人で来てくれるなんて嬉しいわ。ソファーに座って?」


 お母様はすごく嬉しそうだね。

 野田のおじいちゃんは、お母様の事をブラコンだって言っていたけど……

 本当なのかな?


「デメテル……」


 ハデスがお母様の名を呼んだけど……


「ふふ。ハデスはどうかしたの?」


「あぁ……母上は……今……」


「え?」


 ……?

 お母様が不思議そうにしている?


「デメテル? なぜそんな顔を……? まさか……母上に何かあったのか!?」


 ハデスはお母さんの事が大切なんだね。

 かなり慌てているよ。


「ハデスったら……気づいていなかったのね」


「……え?」


「遥か昔からずっと近くにいたのに……ペルセポネがルゥとして『人間と魔族の世界』に来てからは第三地区にいたでしょう?」


「……? え……?」


 ハデスが混乱しているね。

 でも今の言葉で納得したよ。


「お母様……それって、野田のおじいちゃんの事だよね?」


 わたしの言葉に、ハデスがさらに混乱しているみたいだ。


「ふふ。ペルセポネは勘がいいのね」


「さっき、マグノリアに行った時にね……吉田のおじいちゃんが野田のおじいちゃんにお願い事をしていたの。すごく大切な事を野田のおじいちゃんに任せていて……なんとなく違和感があってね」


「そうなのね。ハデスの記憶が戻ったのならもう話してもいいわね」


「デメテル……? デメテルはわたしが母上を忘れている事を知っていたのか?」


 ハデスが悲しそうな表情をしているね。

 ここから先はわたしが口を出したらダメだ。

 黙って聞いていた方が良さそうだね。


「ハデス……お母様は遥か昔……ペルセポネを冥界に連れ去られて怒り狂っていたわたしをなだめたり、ヴォジャノーイ族になったハデスを見守ったりしていたの」


「……母上が?」


「そうよ。ペルセポネには詳しく話していなかったわね。お母様は、お父様に次々に飲み込まれていくわたし達姉弟をなんとかして助けようとしていたの。それで、産まれてきたゼウスをガイアおばあ様に頼んで隠したの。ゼウスは妖精とヤギが育てたらしいわ」


 妖精とヤギ……?

 そんなメルヘンな感じなの?


「確かにそう聞いているが……」


 ハデスも知っていたんだね。


「ゼウスは産まれてすぐに飲み込まれるはずだったの。それを、ガイアおばあ様とお母様で協力して布にくるんだ石をゼウスだと言って飲み込ませたらしいわ」


 石を飲まされた事をクロノスおじい様は気づかなかったのかな?

 普通は気づくよね?

 柔らかい赤ちゃんと硬い石は全然違うし。

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