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もう二度と泥棒なんてしないよ

「ペルセポネ様?」

「……! どうして泣いているんだ!?」

「誰かに嫌がらせでもされましたか?」


 ケルベロスが部屋に入ってきたけど……

 わたしが泣いているから三つの頭が慌てているみたいだ。


「わたし……酷い事をしちゃったの。返さないと。今すぐノートを返さないと。ケルベロス……すぐに帰るから……」


 慌てて冥界の門の内側に空間移動すると、門をくぐる。

 急がないと!


「ペルセポネ……?」


 門の外にハデスが立っている。

 ちょうど冥界に帰ってきたのかな?


「ハデス! わたしアカデミーに行ってくる! すぐ戻るから!」


 アカデミーに空間移動すると学長の部屋に入る。

 よし。

 学長は、まだいないね。

 置いてあった場所にノートを戻して……

 これで大丈夫……だよね?


 次はジャックだ!

 

 ジャックの部屋に入ろうとすると、中から声が聞こえてくる。


 しまった……

 起きているよ。

 どうしよう。

 これじゃノートを返せない。


「ない……ない! ノートがない! おかしいな……絶対ここに置いたのに」


 あぁ……

 かなり慌てているみたいだ。

 どうしよう……

 どうしよう……


「どこかにしまい込んだんじゃないか?」


 ……え?

 この声は……

 ベリアル!?

 どうしてベリアルがいるの!?

 鍵穴から中を覗くとベリアルを抱っこしているジャックが見える。

 もう一人いるみたいだけど、よく見えないな。


「ヒヨコ様にサインを書いてもらいたかったのに」


「またすぐに書きに来てやるから」


「はい! えへへ。これからも絶対に会いに来てくださいね」


「うんっ! 絶対来るからな!」


「それにしても、どうして会いに来てくれたんですか?」


「学長に借りてたハンカチを返し忘れてた事を思い出したんだ。昨日くちばしを拭いてくれたハンカチだ」


「ヒヨコ様……あぁ……嬉しいですっ! ね? 学長っ!」


 え!? 

 学長もいるの!?

 じゃあ、もう一人見えたのは学長だったの!?


「本当にそうですね。あぁ……わたしを訪ねてその愛らしい翼でドアをトントン……ドアをトントン……ぐふふ……ヒヨコ様がいつ訪ねてきてもいいように鍵をかけていなくて良かった」


 うわ……

 学長がグフグフ言っているよ。

 でも、倒れていなくて良かった。

 なるほど。

 ベリアルがいつ遊びに来てもいいように鍵を開けていたんだね。

 ベリアルなら空間移動で入れるんだけど……


「学長……ぺるみみたいになってるぞ? さっき学長室で食べたクッキーおいしかったなぁ」


 え?

 じゃあ、さっき学長が私室にいなかったのはベリアルと学長室に行っていたからだったの?

 その後、ジャックの部屋に来たんだね。

 どうしよう。

 このまま部屋にいられたらノートを返せないよ。


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