絶対に交換ノートだけは後世に残させないよ
「吉田のおじいちゃんも初代の神様だったから、誰かを導く苦労がよく分かるんだね。今の暮らしは楽しい?」
「ははは! 大好きなお月ちゃんと仲良く暮らせるからなぁ。毎日幸せだ」
吉田のおじいちゃんが、すごく満足そうに笑っている。
見ているわたしまで嬉しくなるよ。
「そっか。良かった」
「ぺるぺるも明日から冥界の仕事を手伝うんだよなぁ」
「うん。ケルベロスの仕事を減らしてあげたいからね」
「そうか、そうか。天族の相手は大変だけどなぁ。ぺるぺるなら上手くやれるさ」
「えへへ。そうなれるように頑張るよ」
「ぺるぺる……もう誰かの犠牲になんてなるなよ?」
「……え?」
「冥界の仕事を一人で無理して抱え込む事はねぇんだ。困ったらいつでもじいちゃんやお月ちゃんに相談しろ? ぺるぺるは、かわいいかわいいひ孫なんだからなぁ」
「おじいちゃん……うん。ありがとう。えへへ。すごく心強いよ」
「そうか、そうか。さ、今日はごちそうだぞ。じいちゃんはキッシュを作ったからなぁ」
「うわあぁ! おじいちゃんのキッシュ大好きだよ」
「ははは! そうか、そうか」
明日からは、もうアカデミーには行かないんだね。
『明日から』は……ね。
前の席のジャックは明日領地に帰るんだよね。
学長はアカデミーの自室で寝泊まりしているから……
ふふふ。
闇に紛れて二人の部屋に忍び込んで交換ノートを盗ん……じゃなくて、持ってこないと。
あのノートには、ベリアルに対するわたしの変態な姿が事細かに書いてあるんだから。
絶対に後世には残させないよ!
(いや、だから……それは犯罪ですよ?)
ゴンザレス……
わたしの心の声を聞いていたんだね。
(ぺるみ様、それは犯罪ですよ。絶対にダメです)
だって……
わたしがベリアルを見ながら鼻血を出したり、よだれを出したりした姿が事細かに書いてあるんだよ?
恥ずかしいんだよ!
(確かに、色々と出していましたからね……)
そうだよ。
ものすごく色々出していたんだよ。
でも、仕方ないの。
ベリアルが超絶かわいいんだから、つい色々出ちゃうんだよ!
身体からベリアルを愛する液体……
鼻血やら、よだれやらが出ちゃうんだよ!
(……)
ちょっと……
呆れて無言にならないでよ。
(……とにかく、犯罪はダメですよ)
うぅ……
たぶん、おばあちゃんや吉田のおじいちゃんやゲイザー族の皆にも聞かれているよね。
でも……
どうしてもあのノートを誰にも見られない場所に隠さないといけないんだよ。
本当は燃やしたいけど、ベリアルが超絶かわいい絵を描いていたからそんな事もできないし。
第三地区に置けば吉田のおじいちゃんとベリアルが、天界に置けばお父様が見そうだから……
冥界の棚の奥にでも隠しておこう。
ハデスとケルベロスなら勝手に見るような事はしないからね。




