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マグノリア王も前に進む時がきたんだね

「ノダ殿……わたしは王族として生まれ、友という存在がいませんでした。近づいてくる下心のある者達を到底友とは思えず。ですが……ノダ殿とヨシダ殿はわたしを王としてではなく一人の男として接してくださり……ヒヨコ様もペリドット様もゴンザレス様も同様です。わたしにはそれが心地良かったのです」


 マグノリア王が穏やかに話しているね。


「そうか、そうか」


 野田のおじいちゃんは頷きながら微笑んでいる。


「ペリドット様達に出会い、わたしは初めて『人』になれたと思えたのです。幼い頃から王は人であってはならないと教えられてきました。王は全ての民を幸せへと導く神のような存在でなければならない。その教えを守り、わたしは『おのれ』を出す事をしませんでした」


 マグノリア王は、ずっと辛かったんだね。


「そうか、そうか……」


 野田のおじいちゃんは優しく微笑みながら話を聞いているね。


「残りの人生をヒヨコ様やノダ殿、ヨシダ殿と旅をしながら過ごせたらどれほど楽しいか……」


「ははは! 早速やりたい事が見つかったなぁ」

 

「……! 確かに……ははは! 王位を譲って旅をするのも良いかもしれませんなぁ」


「その時は、そっちの側付きの二人も一緒にどうだ? オレには三人が仲良しの友達みてぇに見えるぞ? 印籠でも持って世直し旅ってのもいいかもしれねぇなぁ。ちょうど三人だしなぁ。ははは!」


 野田のおじいちゃんが楽しそうに笑っているけど……

 言われてみれば確かに三人だし、あの時代劇みたいだね。

 まさか、本当に印籠を持って世界を旅したりしないよね?

 でも、そうなったらベリアルは絶対『うっかりベリアル』の立ち位置だよね。

 ぐふふ。


「長年、苦楽を共にしてきた者達ですからなぁ……そうか……わたしにも友がいたのか」


 マグノリア王が側付きの二人を見つめているね。

 すごく穏やかな表情だ。


「陛下……我らを友と……」


「嬉しいです。陛下……わたしも旅仲間に加えてください」

 

 側付きの二人も嬉しそうだね。


「ずっと独りだと思っていたが……違ったのだな」


 マグノリア王と側付きの二人は素敵な関係なんだね。


「ですが……陛下。王太子殿下に王位を継承する前にやらねばならぬ事が……」


 側付きの一人が険しい表情になったね。

 やっぱり王位継承ともなると色々大変なんだろうな。


「あぁ……アレか」


 マグノリア王が険しい表情で、壁に挟まっているアルストロメリア王の像を見つめている?

 まさか、やらないといけない事って……


「ペリドット様ぁ! アルストロメリア王とドワーフに珍妙な物を作らないように言ってくださいぃぃ! かわいい王太子殿下に珍妙な物を贈らせないでくださいぃぃ! 処分に困るのです!」


 側付きが必死に頼んできたね。

 よほど、嫌な思いをしてきたんだろうな……

 それにしても『かわいい王太子殿下』か。

 会った事はないけどマグノリア王の年を考えるともう若くはないと思うんだけど……


「一応言ってはみるけど……あの二人は、やめないんじゃないかな?」


 ドワーフのおじいちゃんは他人の言う事を簡単に聞くタイプじゃないし、アルストロメリア王は純粋に素敵な贈り物をしていると思っているはずだよ。


「では、全てわたしが引き取りましょう。そうだ! デッドネットル王に贈られた物もわたしが……」


 うわ……

 ベリス王が瞳をキラキラ輝かせながら話に入り込んできたよ。

 

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