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坊っちゃんにはもったいない素敵な護衛だね

 さて、あとはおばあちゃんと雪あんねぇだけだから安心だね。


「ぺるみ、とりあえず氷の銃であいつを撃つか?」


 おばあちゃん……

 怖い事を言い出したね。


「オレが二度と悪口を言えねぇように二、三発殴ってやろうか?」


 雪あん姉が二、三発殴ったらもうあの貴族の息子は息をしていないだろうね。

 この二人も危険だよ。


「よし、やっと目が開けられるようになったぞ!」


 貴族の息子、本当に状況説明をありがとう。


「うわあぁ! また眩しい!」


 今度はハデスが空間移動したんだね。

 三回連続でこの眩しい空間にいたら目が痛くて仕方ないだろうね。

 とりあえず、この貴族の息子以外は治癒の力で目を治そうか。

 その後、貴族の息子の護衛に少し話を訊こうかな。


「あれ? 目が痛くない」

「本当だ。なんだったんだ?」


 露店商市場の人間達が騒いでいるね。

 とりあえず、貴族の息子を音が聞こえない結界に入れて……と。

 よし、これで何も聞こえないね。

 結界の中で目を痛がっているね。

 正直、いい気味だよ。


「皆、驚かせてごめんね? 自己紹介させて欲しいの。わたしは、リコリス王の妹で聖女だった『ルゥ』だよ? 聖女の力を使い果たして亡くなった事に心を痛めた神様が新しい身体を授けてくださったの」


 あぁ……

 また嘘をついちゃった。


「今の光は神様の心の光だよ? 最初の光は神様がこの貴族の息子の言動にお怒りになった光。そして、二番目の光はこの市場で助け合いながら生きる皆の姿にお喜びになった光、最後の光はこのリコリス王国の幸せを願われた光だよ?」


 大嘘だけど。

 神様は今、妻のヘラが怖いから逃げているはずだからね。


「聖女様だって? 見てみろ、昨日やられたじいさんが元気になってるぞ?」

「偽物じゃないみたいだな」

「まさか神様が我々を見てくれてるなんて」


 市場の皆は信じてくれたみたいだね。

 あんな光を見た後だからね。

 前の世界だったら『神様がいる』って言っても信じない人の方が多かったかもしれないけど、この世界には魔族もいるくらいだからね。

 あとは……


「貴族の息子の護衛の二人、話があるの」


「え? 我らにですか?」


「安心して? あの貴族の息子には聞こえていないから」


「え? 本当ですか?」


「うん。だから訊きたいの。この貴族の父親はどんな人間なの?」


「……雇われている身ですので、雇用主の悪口は言えません。坊っちゃんに対しても同じです」


「なるほど。二人も大変だね。二人は貴族なの?」


「わたしは男爵家の五男です」

「わたしは平民です。アカデミーを出て今は伯爵家に雇われています」


「そっか。さっき見たんだけど坊っちゃんに気づかれないように近くにいたお年寄りを避難させていたよね?」


 わたしも坊っちゃんって呼ぼう。

 貴族の息子じゃ呼びにくいからね。


「この事は坊っちゃんには……」


「もちろん黙っているよ? でも、別に伯爵家に恩があるわけじゃないんでしょ?」


「はい。伯爵家の方々は……その……権力で人々を押さえつけるといいますか……その……」


「ふぅん。なるほどね。この坊っちゃんにそっくりっていう事だね?」

 

「あの……わたしの口からは……」


「……公爵? 公爵はこの坊っちゃんの父親が誰か分かる?」


「はい。馬車の紋章を見ましたから」


「もし、この坊っちゃんの家門が没落したらリコリス王国にとって痛手になるかな?」


「と、言いますと?」


「うん。今日から坊っちゃんの領地の蚕が繭を作らなくなるの。だから没落しちゃうんだよ……」


「え? ペリドット様? それは……」


「うーん。その辺はフワッとさせたいんだよね」


「……なるほど」

 

 納得するの?

 フワッとなんて言葉でいいの?

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