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ベリアルの初恋(2)

今回はベリアルが主役です。

 ペルセポネ様がいなくなったと気づいてからもう二十分は経つ。

 実際にいつからいなかったのかは誰にも分からないのか?

 この辺りは宮殿の関係者が捜すだろう。

 少し離れた場所を捜すか?

 でも、どこを?

 ペルセポネ様は危ないからって空間移動もさせてもらえないし、飛べないからな。

 徒歩か……

 でも、あのペルセポネ様が宮殿から出て歩いていたらかなり目立つはずだ。

 やっぱり宮殿の敷地内か?

 誰かが空間移動で連れ去った?

 

「お前……お前なのか?」


 ……?

 なんだ?

 背後から声がする?

 オレに話しかけているのか?


 振り向くと……

 こいつは確か、主治医?

 

「お前がペルセポネを拐ったのか!?」


 は?

 なんの事だ?

 オレがペルセポネ様を?

 あれ?

 今、こいつペルセポネ様を呼び捨てにしていなかったか?


「ファルズフ? どうしたの?」


 ペルセポネ様の母親……

 デメテル様?

 違う。

 オレじゃない!

 でも、主治医とオレじゃ……

 誰だって主治医の言う事を信じるはずだ。

 オレはいつだって邪魔者なんだ。

 誰からも心配もされなければ、信頼もされない。

 ただ汚れ仕事をさせられる嫌われ者なんだ。


「……ベリアルだったわね? 確か弟のハデスの側付きをしていた……」


 オレのような者を知っていたのか。


「……はい」


「ハデスが話していたわ。信頼できる側付きがいると。冥王になってからは天界に来なくなってしまったけれど……」


 ハデスが?


「デメテル様! この男は皆から嫌われています! きっとこいつがペルセポネ様を!」


 あぁ……

 やっぱり主治医はオレを疑っているんだな。

 デメテル様もすぐにオレを疑うに決まっている。

 いつもオレは罪を擦り付けられてきたからな……


「ファルズフ? 『きっと』なんて決め付けはダメよ? それに、ハデスが誰かを褒めるなんて珍しいの。ベリアルは絶対に違うわ」


 ……?

 オレを信じてくれるのか?

 こんなの初めてだ。

 胸が熱くなる。


「デメテル様……ですが、ペルセポネ様がいなくなる事などあり得ないのです! わたしが薬……いえ、あの……」


「薬……? ファルズフ……あなた……前からおかしいとは思っていたけれど……ペルセポネのお茶に何か入れて飲ませているわね? 意識を朦朧もうろうとさせてどうするつもりなの!? ずっとカーバンクルに見張らせていたのよ!?」


「それは前にもお話した通り、薬を……先天性獣接触……」


「もういいわ? 薬に詳しい医師を見つけたのよ? あなたの用意している薬は何か変だと言っていたわ? ペルセポネに妙な感情は抱かない事ね? とりあえず、何の薬を飲ませていたかを調べるわ? 牢にいれておきなさい!」


 数人の男達が主治医を連れていく姿を呆然と眺めている。

 今まで誰かに信じてもらえた事なんて無かった……


「ごめんなさいね。ファルズフは信用できない男だったの。でもペルセポネの病は特殊でね? 仕方なく主治医をさせていたの。やっと信頼できる医師が見つかってね。でも……安全に治療できるのか……」


 病?

 ペルセポネ様はどこか悪いのか?

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