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野田のおじいちゃんは、本当は真面目なんだよね……?

「ちょっと野田のおじいちゃん? 勝手に持ってきたら怒られちゃうよ?」


 野田のおじいちゃんは、いかがわしい本が欲しいのかな?

 大事そうに持っているけど。


「ん? ああ、これか? これは、いかがわしい本の後ろに隠してあったんだ。ほれ、マグノリア王に渡しとくからなぁ」


「おお! 貴殿がノダ殿! ……これは?」


 マグノリア王が本を受け取りながら尋ねているね。


「ああ。なんか大事そうな物みてぇだからなぁ。後でじっくり読めばいいさ。晴太郎はれたろうからの伝言だ。『民を幸せな未来に導くのも大切だけど、マグノリア王自身にも幸せになる権利はあるんだぞ。だから、この本を読んでくれ』ってなぁ」


「ハレタロウ? とは?」


「ん? ああ……『吉田のじいちゃん』だなぁ」


「ヨシダ殿が……? そうでしたか」

 

「この前、ここに遊びに来た時に偶然隠し部屋の入り口を見つけたらしくてなぁ。大事にしまってあるこの本をマグノリア王に渡してくれって頼まれたんだ」


「そうでしたか。ヨシダ殿が……」


「その時は用があったから急いで帰らねぇといけなかったらしくてなぁ。だから、オレが頼まれたんだ」


「それほど大切な書物が、なぜいかがわしい物ばかりが置いてある部屋に隠してあったのでしょうか」


 マグノリア王の側付きの人間が尋ねてきたね。


「真実は誰にも分からねぇだろうなぁ。ずっと前の事だからなぁ。でも、いかがわしい本の中に隠しておけば、そっちが気になって文字ばかりのこの本に興味が湧かねぇと思ったんかもなぁ。 木を隠すには森の中って言うだろ? それに、まさかこんな大事な物がそんないかがわしい本の中に混ざってるなんて思わねぇだろ。もしくは……永遠に隠したかった……とかなぁ」


「それほど、貴重な書物なのですか?」


「オレも晴太郎も絶対に口外しねぇから安心しろ。マグノリア王……オレは、こう見えてもかなりのじいちゃんでなぁ。孫もいるんだ。その孫がかわいくてなぁ。だからこそマグノリア王の気持ちが分かるんだ。自分が生きてる間に進められる事は全部やって、子や孫への負担を減らしてぇってなぁ」


「そうですなぁ」


 マグノリア王が野田のおじいちゃんの言葉に頷いているね。


「確かに今は四大国の関係が安定してるからなぁ。でも、王が代替わりしたらどうなるか分からねぇ。そう考えてマグノリア王は、かなり無理をしてるだろ? それじゃ身体を壊しちまうぞ? もっと信じてみたらどうだ? 自分の血を引く子孫達を」


「……ノダ殿。それは……」


「王って立場は難しいよなぁ。しかも、他の大国の王は子や孫ほど年が離れてるだろ? 自分がしっかりしねぇとって考えちまうよなぁ。アルストロメリア王はピヨピヨしてるし、デッドネットル王はあんなだし、リコリス王は王になったばかりでなぁ」


「……そうですなぁ」


「でも……皆、信頼できる王達だよなぁ。世界共通の金貨を一枚ずつ持ったんだろ? 皆が幸せに暮らせる未来を夢見て……か。なかなか良い関係だなぁ」


 野田のおじいちゃんが、まともな事を言っているね。

 最近は『うへうへ』言っている姿しか見ていないから安心したよ。

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