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ダイヤモンドも価値が分からなければ、ただの石だと思うよね

「はい。デッドネットル王は届いた瞬間に破壊できる物は破壊して埋めているようで、リコリス王は珍妙な物を好む知り合いに押しつけているようです」


 マグノリア王の側付きが羨ましそうに話しているけど……


「破壊して埋めるなんてデッドネットル王らしいね。お兄様は誰かに押しつけているの? 変な物が好きなんて……変わっているね」


「陛下は、いつか贈った物を見せてくれと言われた時に困らないようにと箱に入れたままにしてあるのですが……」


「……ですが?」


「いきなり動き出したり、音が鳴ったりするのですよ。しかも、この像の瞳は夜中に光り出すのです!」


「うわ……それは怖いね」


「ようやく、ひとつ葬り去る事ができます。一番、気味の悪い物を……」


「気味が悪いって……まぁ、確かに顎から上だけのアルストロメリア王の長髪生首の像だけど……」


「それだけではないのです! クルクルと回転しながら瞳が光るのですよ! 夜中に動きながら箱から飛び出してきた時には敵襲かと思いました」


「……それは災難だったね。ん……?」


 まずい。

 階段を隠していた壁が閉まろうとしている。


「大変だ! 壁が閉まってしまいます! ですが……頼む! 珍妙な像よ! 挟まって壊れてくれっ!」


 側付きの人間の心の叫びが口から出ているよ。


 って、うわ……

 壁に挟まれているアルストロメリア王の像がギシギシ鳴りながら恨めしそうにこっちを見ている。

 あ、目が光り始めた。

 これは怖い……

 それにしてもアルストロメリア王の像の素材は、よほど頑丈なんだね。

 重そうな壁の動きが止まっているよ。


「くそ!」


 側付きの人間が鬼の形相になっている。

 よほど壊れて欲しかったんだね。

 こんなに硬い素材があるなんて……

 ん?

 でも、これって……

 まさか……

 

「ダイヤモンド!? ダダダ……ダイヤモンドだ!」


 実物を見た事はないけど、ダイヤモンドだよね?  

 すごい。

 キラキラだ。

 確か世界一硬い宝石のはず。

 あれ?

 でもダイヤモンドは衝撃に弱くてハンマーで叩くと割れるって聞いたけど……

 ドワーフのおじいちゃんなら割れなくする加工ができるのかも。


「ダイヤモンド……とは?」


 マグノリア王が尋ねてきたけど……

 そうか。

 この世界ではダイヤモンドは知られていないのか。


「ダイヤモンドっていうのは、皆の憧れの宝石で高級品なの。小さい粒でもかなり高額で、この大きさなら金貨一万枚……いや、もっとするはずだよ。でも、加工が難しいんだよね。ドワーフじゃないと無理だと思う」


「なんと!」


 え?

 この声は……

 ベリス王が人一人がやっと通れるくらいの隙間からこっちを覗いている。

 さっき呼んだ時には返事すらしなかったのに、ダイヤモンドの話になったとたん目の前に現れたよ。


「ちょっと……さっきわたしが呼んだ時には無視したくせに……」


「おや? そうでしたか?」


 もう!

 心配して損した。

 ベリス王は細いから普通に隙間から出てきているし。


「隠し部屋の中はどうなっていたの?」


 やっぱり秘宝とかがあったのかな?


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