結局わたしはお父様似っていう事なんだね
「そうですねぇ。さすがは大国の王といったところでしょうか。ちなみに船のお礼として『ヒヨコちゃん等身大フワフワクッション、背面は貝殻ビキニ姿のちょっぴりいかがわしいヒヨコちゃん』を贈らせていただきました」
……?
ベリス王?
今……
なんて言ったの?
「ヒヨコちゃん等身大フワフワクッション、背面は貝殻ビキニ姿のちょっぴりいかがわしいヒヨコちゃん!? 何それ! 何それっ!?」
絶対手に入れないとっ!
わたしのコレクションに加えないとっ!
「ははは。あれは特別に作らせた物なのですよ。世界に三個しかないのです」
「世界に三個……? じゃあもうひとつあるんだよね!?」
「はい。そうですねぇ。いやぁ、どなたに差し上げましょうかねぇ」
「……それはわたしを利用する時の餌として作ったんだね?」
「ははは! ばれましたか。はい。そうですよ」
「……何をさせるつもりなの?」
「ははは。簡単な事ですよ。薄毛の人間の毛髪をフサフサにすればいいだけです」
髪をフサフサに?
そういえば……
「確か前にそんな話をしていたような……」
「いやぁ、ぬいぐるみを洗濯しながら薄毛の人間を救う……素晴らしいですねぇ」
「料金設定はいくらにするつもりなの? 洗濯とフサフサの髪……一体いくら儲けるつもりなの!?」
「ははは。金額は地位により変えますよ?」
「うわ……王様とか高位貴族からは、かなり搾り取るつもりなんだね?」
「ははは。ベリアルのクッション……前払いでいかがでしょう?」
くっ!
前払い!?
欲しい……
欲しいよ……
でも……
「ベリス王……わたしはそんな簡単な女じゃないんだよっ!」
「おや……これは予想外ですね。では金貨を追加しましょうか?」
「そんな事じゃないんだよっ! いい? 『ヒヨコちゃんの等身大フワフワクッション、背面は貝殻ビキニ姿のちょっぴりいかがわしいヒヨコちゃん』……それが作れるなら、かわいいつぶらな瞳を閉じている『ねんねヒヨコちゃん。まるで抱きついているかのようにかわいい翼を伸ばしているね』のクッションも作れるはずだよね!?」
「……なんと……『ねんねヒヨコちゃん。まるで抱きついているかのようにかわいい翼を伸ばしているね』のクッション!? それはすごいっ! さすがはぺるみ様! 素晴らしいっ!」
「ふふふ。そうでしょう? 添い寝をしてくれるヒヨコちゃん……くうぅ! 想像しただけで鼻血が出そうだよっ!」
「添い寝をしてくれるクッション……これは売れそうですね」
「貝殻ビキニのクッションももらうけど、そっちのクッションも作ってよぉ。そうしたら、髪フサフサの方も手伝うからさぁ」
「はいっ! お任せください! あぁ……また忙しくなりそうですね。スーたんのぬいぐるみとベリアルのクッション……ふふふ」
「ん? スーたんのぬいぐるみ?」
「はい。すでにスーたんから許可は得てあります。大喜びでしたよ?」
「スーたんは、かわいいって言われるのが大好きだからね」
「では、契約書にサインを……」
「うんっ! えへへ。ベリアルのクッションが二個も手に入っちゃうよっ! コレクションがいっぱいだぁ!」
幸せの島のわたしの部屋はベリアルグッズを飾る部屋になっているんだよね。
どこに飾ろうかな。
「ぷはっ! ぺるぺるは天ちゃんにそっくりだなぁ」
ん?
吉田のおじいちゃんが笑いながら話しかけてきた?
しかも、わたしがお父様にそっくりって……
「わたしとお父様のどこがそっくりなの?」
「天ちゃんもコレクション部屋があるだろ?」
「……!」
言われてみれば、やっている事が同じだよ。
お父様は天界の秘密の部屋に意味の分からない木の実とかを収集しているんだ。
うぅ……
わたしってやっぱりお父様似なのかな?




