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この世界の人間の命はわたしが守る! ……たぶん

「(皆、これどういう事!? しかも忍び装束って……以前から準備していたの!?)」


「(いつかこんな事になるだろうって前から準備してたんだ。ヘラは無理矢理予備の装束を着て付いてきたんだ)」


 おばあちゃん……

 すごく楽しそうだね。


「人間! 姫様に無礼な口を! 赦さない!」


 おあいちゃんもかなり怒っているね。

 市場にいる人間達は眩しさに目をやられて、それどころじゃないみたいだ。

 おあいちゃんの言葉も聞こえているのか分からないよ。

 おあいちゃんは今は人間の姿だけど前ハーピー族長だからね。

 強いはずだよ?

 この怒り狂った『冥王ハデス』『神の妻ヘラ』『前ハーピー族長』を止めないと人間が全滅の危機だよ!

 でも、どうやって止めるの!?

 皆が目を痛がっているうちになんとかしないと。

 

「ヘラ、わたしは平気だから落ち着いて? おあいちゃんも、大丈夫だから、ね?」


「姫様……」


 おあいちゃんはわたしを『ぺるみ様』って呼んでいたけど、前みたいに『姫様』に戻っちゃったね。

 今は姫の護衛の忍者っていう設定みたいだね。

 でも、ヘラはさっきわたしを姪って言っちゃったから……

 あの状態で聞こえていたかは分からないけど。

 うーん。

 しかも、この世界の人間には忍者は分からないはずだよ?

 どうしたものか……


「おあいちゃんが赦してもわたしは絶対赦さないわよ?」

 

 ヘラ……

 わたしを大切にしてくれるのは嬉しいけど……

 困ったな。

 あ!

 そうだ!


「(ヘラ、耳を貸して? お父様の事で話があるの)」


「(え? ゼウスがどうかしたの?)」


「(お父様の机の引き出しを見たんでしょ? その時、左の引き出しの奥は見た?)」

 

「(え? 奥?)」


「(うん。奥に隙間があってね? そこにヘラの絵姿が隠してあるんだよ?)」


「(え? それ本当?)」


「(うん。お父様が張り切り過ぎて、引き出しを引っ張り出しちゃってね? その時に見たんだよ?)」


「(わたし、今から見てくる!)」


「(うん。引き出しを見終わったら第三地区に行ってくれるかな? その頃にはわたしはもうここにはいないかもしれないから)」


「(分かったわ。ふふ)」


 ヘラはやっぱりお父様を好きなんだね。

 嬉しそうだよ。

 さっそく空間移動したね。


「うわあぁ! 眩しい! 治りかけてたのに!」


 貴族の息子……

 状況報告ありがとう。

 なかなか役に立つね。

 まだしばらく人間は目を開けられないみたいだね。

 よし。

 ヘラは天界に戻ったし、ひと安心だね。

 あの忍び装束で執務室にいて引き出しを調べていたらウリエルが驚くだろうね。

 とりあえず危険人物が一人減ったよ。

 おあいちゃんは、さっき落ち着いてくれたみたいだし。

 協力してもらおう。

 

「(おあいちゃん、お願いがあるの)」


「(はい。なんなりと)」


「(あっちでハデスがヴォジャノーイ族のおじちゃん達に押さえつけられているの。今ハデスに暴れられたら人間が全滅しちゃうでしょ? だから、伝えてきて欲しいの)」


「(はい。何を伝えれば?)」


「(お父様はきっと幸せの島に隠れているはず。わたしの下着を洗濯して干してあるからお父様が触っていないか心配だって伝えて欲しいの)」


「(ですが、この状況でこの場からハデス様が離れるとは思えませんが……)」


「(大丈夫。『吉田のおじいちゃんがくれた、ハデスに見せる用の少しエッチな下着』って付け加えて? ハデスは今ここにイフリート王とベリス王が人化して来ている事に気づいているはずだから、すぐに幸せの島に帰るはずだよ? お父様の命の危機かもしれないけど下着を触っていなければハデスも怒らないはずだよ?)」


 もし触っていたら……

 いや、さすがに娘の下着は触らないだろうね。

 多分……きっと……

 あれ?

 触りそうな予感が……気のせいだよね?

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