確かにわたしは、ど変態だけど……
「でも……天ちゃんはすぐに騙されるし、デメテルは変態だよなぁ」
野田のおじいちゃんがニヤニヤしながら話しているね。
嬉しそうに見えるのはどうしてだろう?
「……言葉って難しいね。言い方を変えるだけで全然違うよ」
やっぱりわたしはお父様とお母様のダメなところを受け継いでいるんだね。
だからすぐに騙されるし、ど変態なんだ。
「そうだなぁ。だから、口から出す言葉には気をつけるんだぞ?」
その通りだね。
『真実の口』の力の事もあるから気をつけないと。
あれ?
野田のおじいちゃんにその話はしていないよね?
偶然そういう話になっただけか……
「ぺるみはノダのじいちゃんと何を話してるんだ? モグモグ。黒髪のウィッグなんか被ってどうしたんだ?」
ベリアルがマグノリアでもらってきたお菓子を食べながら歩いてきたね。
お腹が元通りになっているよ。
どういう構造になっているんだろう?
「なぁ。ベリアル?」
野田のおじいちゃんがベリアルに何かを尋ねようとしている?
どうしたのかな?
おじいちゃんもベリアルのお腹の構造が気になるのかも。
「なんだ? じいちゃん? お菓子が欲しいのか? 一個食べるか? モグモグ」
食いしん坊のベリアルが野田のおじいちゃんにお菓子をあげようとしている!?
くうぅ!
パンみたいなかわいい翼で袋の中からお菓子を選んでいる。
堪らない……
堪らないよ!
わたしはお菓子よりベリアルを食べたいよっ!
あ……
また変態になっちゃった。
まさか、お母様もハデスに対して『くうぅ! わたしの弟は世界一かわいいから食べちゃいたい』とか思っているんじゃ……
「ははは。そりゃ嬉しいなぁ。なぁ、ベリアル。『騙されやすい変態』は誰だと思う?」
野田のおじいちゃん!?
なんて事を訊くの!?
「モグモグ……ん? そんなのぺるみだろ?」
やっぱりそうだよね……
って、そうじゃなくて!
「ちょっと! 失礼だよ!?」
「はあ!? いつもベリス王に騙されてる、ど変態だろ!?」
あ……
でもベリアルに『ど変態』って言われると嬉しいかも。
興奮してきたよ。
って……
これじゃわたしは本物の、ど変態だよ!
「うぅ……言い返せない。あ、でもそれならベリアルだっていつもベリス王に騙されているでしょ!? しかも最近はスーたんとゴンザレスを見つめてニヤニヤしながら『オレの弟達は超絶かわいい』って言っているし」
「はあ!? そんなはずないだろ!? 確かにゴンザレスとスーたんはかわいいけど、オレはニヤニヤなんてしないんだ!」
くうぅ!
プリプリ怒るベリアルも超絶かわいいよっ!
「ははは! ぺるみとベリアルもそっくりだなぁ!」
野田のおじいちゃんが声を出して笑い始めた?
「はあ!? オレとぺるみが似てる!? 最悪だ!」
ベリアル!?
さすがにそれは聞き捨てならないよ!
「ちょっと! 失礼でしょ!? でも……わたしと超絶かわいいベリアルがそっくりなんて……堪らない……堪らないよ。ぐふふ」
「絶対違あぁぁぁあう!」
「んもう。ベリアルの恥ずかしがりやさんっ!」
「絶対違あぁぁぁあう!」
「あの……そろそろ出発したいのですが……」
ベリス王が呆れながら話しかけてきたね。
「あ、そうだった。ちょっと! 空間移動一回で金貨一枚じゃなかったの!?」
「え? それは先程サインをしましたから契約成立です。今さら取り消しなどできませんよ」
「やっぱり初めから騙すつもりだったんだね!? 永遠に空間移動させて金貨一枚なんて……」
「騙すなど……では、仕方ありませんねぇ。ぬいぐるみを洗濯したお客様への抽選券を特別に……」
洗濯したお客様への抽選券?
福引き券みたいなやつ?
「え? わたしにくれるの?」
タダで?
「特別にですよ? おじい様からグンマにそういう物があると伺いまして。なんと一等は特別船で巡る世界一周旅行っ!」
「世界一周旅行? どこかで聞いた話だね」
「おや? そうですか?」
どこだったかな?




