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今のわたしならきっと……

「でも隠し部屋の神力は天ちゃんの中には、とどまれなかったんだ」


 隣に座る吉田のおじいちゃんが真剣な表情で話してくれているけど……

 お父様は隠し部屋の神力を、わたしみたいに使う事はできないのか。

 

「隠し部屋の神力の光と繋がっているわたしにしか無理なんだね」


「そうだなぁ。まぁ、想像だけどなぁ。それで、天ちゃんの身体から出ていく時にいろんな変な形になったってわけだ。これも想像だけどなぁ」


「でも、おばあちゃんは隠し部屋の神力が減る事を嫌だとは思わなかったの?」


 隠し部屋の神力が無くなったら天界が浮遊できなくなっちゃうんだよね?


「んん? 少しずつ天ちゃんに神力が流れたって言っても、本当に少量だからなぁ。何の問題もなかったんだ。それに、その頃は大きな戦が終わった頃でなぁ。自害させられた天族が大勢いて、隠し部屋の神力はあの部屋からはみ出るんじゃねぇかってほど膨れ上がってたんだ」


 おばあちゃんも真剣な表情で話している。

 隠し部屋の光をずっと一人で見守っていたんだよね。

 かなり大変だったはずだよ。


「そうだったんだね……」


「だから、天ちゃんに少しずつでも流れてくれて助かってなぁ。でも、その頃にはぺるみに神力が流れ込んでたのかもしれねぇなぁ。ぺるみはあの戦のすぐ後に産まれたから」


「……うん。じゃあ今でもわたしに流れてきた神力をお父様が少しずつ取り込んでいるのかな?」


「いや、それは違うみてぇだなぁ。ばあちゃんにもよく分からねぇんだ。今した話が真実かも分からねぇし。でも、天ちゃんは火干しされてもすぐに回復するっていうか……攻撃が効かねぇみてぇなところがあるだろ?」


「うん。ずっと不思議だったの。どうしてあんなに攻撃されても平気なのかって……」


「天ちゃんには攻撃を吸収する力があるんだ。だから、攻撃されてると思って隠し部屋の神力を取り込んじまったのかもしれねぇなぁ。でも、天ちゃんには、あの神力を使う事はできねぇみてぇだなぁ。だから『変な物』として無意識に体内から出してるんだろう」


「攻撃を吸収? わたしと同じ力って事?」


「ああ。ぺるみのその力は天ちゃんから受け継がれたんだろうなぁ」


「そうか……親から子に力は受け継がれるから」


「でも、少し違うのは天ちゃんは攻撃されてもそれを吸収してほとんど傷にはならねぇけど、ぺるみは怪我をしちまうってところだなぁ」


「……うん。そうだね」


「親子でも完全に同じ力じゃねぇって事だ、母親の血も混じるからなぁ。でも、ぺるみの場合は父親の天ちゃんと、母親のデメテルは姉弟だからなぁ。両親ともオレと晴太郎はれたろうの血を引いてるから、受け継がれた力が強大になっちまったんだろう」


「……そっか」


 その強大な力をファルズフの毒で抑えつけていたのか。

 いや、吉田のおじいちゃんはオケアノスの魂を落ち着かせる為って言っていたよね。

 実際はオケアノスは悪い心を持っていなかったから毒で抑えつける必要はなかったんだけど……

 今考えたらそれで良かったんだ。

『攻撃されたらその力と同じ力を使えるようになる』なんて危険過ぎるよ。

 それに、隠し部屋の神力と繋がっている事を知らずに暮らしていたんだ……

 わたしの力が暴走していたら大変な事になっていたよね。

 毒で抑えつけていなければ天界が消滅していたかもしれない……

 そんな強大な力をわたしが持っているなんて、正直怖くて堪らないけど。

 でも……

 今のわたしなら……

 群馬や『人間と魔族の世界』で鍛えられてかなり心が強くなれたし、ルゥとして『じいじ』から生きるか死ぬかの鍛錬をされてきたから絶対に力を暴走させない自信があるんだ。 


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