真実の口?
「ははは! ぺるみは元気だなぁ」
この声は……
おばあちゃん?
いつの間にか市井の広場から帰ってきていたんだね。
吉田のおじいちゃんと手を繋いで楽しそうにニコニコ笑っている。
「そうだなぁ。ぺるぺるは元気いっぱいだ。ははは!」
吉田のおじいちゃんも嬉しそうに笑っているけど……
「あのね? 今、変な感じがしたの。空気が揺れたみたいな……」
なんだったのかな?
「……ぺるみ、ばあちゃんは昔話をしに来たんだ」
昔話を?
おばあちゃんとおじいちゃんがわたしの両隣に座ったね。
桜の花が風に揺れてサワサワ音が聞こえてくる。
「桃太郎……みたいな?」
「んん? 桃太郎か……ぺるみは群馬にいる時に言ってたなぁ。桃太郎と鬼が仲良く暮らせたら良かったのにって」
「うん……そうだったね」
「ぺるみ……天界で『真実の口』っていう宝石みてぇな物があっただろ」
「え? うーん……? ああ、秘密の部屋に置いてあったよね。確か棚にくっついて取れなくなっちゃったって聞いたけど」
「そうだなぁ。そりゃ、ばあちゃんがやったんだ」
「そうなんだね……でも、どうして?」
「間違えて誰かが使わねぇ為にだ」
「うどんみたいな木の実も結構危なそうだったけど、それ以上に危ない物なの?」
「そうだなぁ……ぺるみはもう気づいてるよなぁ? あの部屋にある物は全部隠し部屋の神力の光から創られてる事を」
「……うん」
「ぺるみ……隠し部屋の神力の光は自害させられた天族が持っていた神力だ。それも覚えてるか?」
「うん。覚えているよ」
「そうか……じゃあ、これも分かるか? あの宝石みてぇな物の力もぺるみの中にある」
「……? うん。それも分かるよ? わたしの神力とあの隠し部屋の神力は繋がっているから」
「そうだなぁ。ぺるみ……あの『真実の口』の力は……どんなだと思う?」
「え? うーん……真実の口だから、本当の事を言わせる力……とか?」
「……そうか」
「おばあちゃん……?」
難しい顔をして何かを考えているみたいだ。
「あの『真実の口』の力は……『口から出た言葉を真実にする』っていうもんだ」
「口から出た言葉を真実にする?」
うーん……?
わたしが話した言葉を叶えるっていう事?
「ぺるみ……今、世界の……空気の振動を感じただろう」
「空気の振動?」
確かにそんな感じはしたけど……




