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ハチさんの着ぐるみ姿のベリアルは最高だよ

「うぅ……」


 ダメだ……

 涙が止まらないよ。


 幸せの島の桜の木の下で泣いているわたしに、ベリアルが歩いて近づいてくる。


「ぺるみ……大丈夫か?」


「……うん。大丈夫だよ。今日は泣かないって決めていたのに……全然ダメだったよ」


「そんな事ないさ。ぺるみは頑張ってたぞ」


「ベリアル……」


 ハチさんの着ぐるみ姿のベリアル……

 超絶かわいいよ。

 ムチムチのハチさんのベリアル……

 くうぅ!

 堪らないねっ!


「うわ……ぺるみは悲しいんだよな? まだ変な薬が効いてるのか? 目がギンギンだぞ。気持ち悪っ!」


「ベリアルゥ……わたしを癒してよぉ。抱っこして髪を撫でてよぉ」


「……嫌だ。お前……鏡で顔を見てみろよ。怖いぞ?」


「だって、だってぇ。ベリアルが超絶かわいいんだもん。ハチさんベリアルが超絶かわいいんだもん!」


「……まぁ、元気ならいいや。はぁ……オレは疲れたから温泉の島にでも行ってくる。スーたんとゴンザレスも一緒に行くか?」


「え? どうしてわたしは誘ってくれないの?」


「それはお前が変態だからだ」


「はぁ!? ちょっと……それ悪口だよね!? あ、じゃあハチさんの着ぐるみを脱がせてあげるよ。自分じゃ無理でしょ? ハァハァ……」


「……大丈夫だ。ゴンザレスは手先が器用だからこれくらいなら簡単に脱がせられるからな」


「ええ!? わたしが脱がせてあげるよ。一枚ずつゆっくりと……ハァハァ」


「だから、嫌なんだ! 変態め! ハァハァ言うな!」


「うぅ……わたしが脱がせてあげたかったのにぃ」


「心配して損した! 変態は放っておいて温泉に行こう!」


「ええ? ちょっと! わたしも行く……ああっ!」


 空間移動して皆で行っちゃった。

 わたしも行きたかったのに。


 こうして幸せの島に一人になると……

 急に静かになったね。

 あ……

 桜の花が風に揺れている。

 まるで聖女がわたしに話しかけているみたいだ。

 

 桜の木の横に座ると、埋葬されている聖女に話しかける。


「あのね……今日はベリアルとスーたんが歌ったり踊ったりしてきたの。人間達が歓声をあげながら喜んでくれてね。最後に『この世界を大切にして欲しい』ってお願いまでして……ベリアルは立派だったよ」

 

 聖女にも見せてあげたかったな……

 あの広場では魔族も天族も人間も関係なかった。

 皆がベリアルを心から応援していたんだ。

 それ以外には何もなかった。

 ひがみ、妬み、誰かを見下したり、傷つけたり……

 そんな感情は微塵もなかったんだよ。


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