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ベリアルとスーたん(2)

「緊張してるオレを助けに来てくれてありがとう」


 スーたんだって人間が集まるステージに立つなんて緊張するはずなのに……

 オレの為に勇気を振り絞って来てくれたんだよな。


「お兄たん……」


 スーたんが呟いたけど……

 弱々しい声だ。

 やっぱり緊張してるんだな。


「スーたんがいてくれて、すごく心強いよ」


「……! また変な感じがする……」


 スーたんが胸に手を当てながら何かを考えている?

 そうか、分かったぞ。


「スーたんは、今までの島では一番若くて、頼られた事がなかったんじゃないか? だから、こうやって頼られたりするとどうしたらいいか分からなくなるのかもな」


「頼られる? メリアルお兄たんはスーたんを頼りにしているの?」


「うん! スーたんのおかげで身体の震えが止まったよ。ありがとう」


「……! また変な気持ちになった……」


「だんだん慣れるさ! こんな頼りないお兄たんだけど……これからもよろしくな!」


「えへへ。うん。スーたんもよろしくね」


 スーたんが恥ずかしそうに笑っている。

 かわいいなぁ。


 オレもずっと光と闇が入り混じった空間に一人でいたから、第三地区に来て誰かに頼られたりかわいがられたりするのが恥ずかしかったんだ。

 だからスーたんの気持ちが良く分かるんだよな。

 これからは、いろんな事をしていろんな物を見せてあげたいな。

 ゴンザレスとスーたんと一緒に楽しい思い出をいっぱい作るんだ!


 

 ドキドキしながら、スーたんと手を繋いでステージに出ると大歓声があがる。


 うぅ……

 緊張して頭がクラクラする。

 隣にいるスーたんは全然平気みたいだ。

 よし。

 まずは挨拶だ。


「今日は……来てくれてありがとう」


 声が震えちゃうけど、風の上位精霊が創ってくれたマイクで遠くまで聞こえてるみたいだ。


「「「キャー!」」」


 うわ……

 黄色い悲鳴がすごい。

 耳が痛くなるくらいだ。

 オレってかなりの人気者なんだな。

 まぁ、かわいいから当然か。


「こっちにいるのは、弟のスーたんだ。今日は一緒に歌ってくれる事になったから、よろしくっ!」


「「「キャー!」」」


 何を言ってもキャーキャー言うんだな。

 もしかして……


「……プリン」


「「「キャー!」」」


 プリンって言ってもキャーキャー言うのか?

 じゃあ……

 

「クッキー……」


「「「キャー!」」」


 すごいな。

 こんなにキャーキャー言っても、オレの声が聞こえてるのか。

 風の上位精霊の力はすごいんだな。

 

 ……遊んでる場合じゃないか。

 よし!

 始めるぞ!

 あ、でもその前に。


「スーたんも挨拶するか?」


「うんっ! スーたん頑張るっ!」


 くうぅ!

 スーたんは超絶かわいいよっ!

 マイクをかわいいお口に近づけて何を話すんだろう?


「えっと……スーたん……ドキドキしゅるけど頑張りましゅ!」


 ……!?

 かわいい……

 かわい過ぎるだろっ!


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