スーたんとぺるみの内緒話(5)
今回はスーたんが主役です。
「できるよ。やろうと思えば……時間はかかるだろうけど、きっとできるよ」
神の娘のぺるみが言うのなら、できるんだろうけど……
「そんな簡単な事なのか? だとしたら異世界だって今からなんとかなるはずだろ?」
「……簡単な事じゃないよ。すごく難しい事なの。でも、誰かが変えようとしなければ何も変わらないから。だから……わたしは種を植えたの」
「種? なんの種だ?」
「人間達の心に見えない種を植えたの」
「……? よく分からない……」
「ふふ。そうだよね。目に見えないから分かりにくいけど……この広場にいる人間達は、ほんの少しだけ昨日とは違うんだよ」
「……もっと分からない」
ぺるみは何を言っているんだ?
「うん……心がね……」
「心?」
「心が昨日よりほんの少し優しくなっているはずだよ」
「……ほんの少し?」
「人間は平民と貴族に分かれているの。あ、王族もいるよね。身分が違うと見下したり差別されたりしてね……」
「それは知ってる」
「ふふ。スーたんはすごいね。人間の事を勉強したのかな? 偉いね」
……オレがすごい?
偉い……?
なんだろう。
すごく嬉しい……
「べつに……ぺるみに褒められても嬉しくなんかないぞ!」
あ……
また嫌な事を言っちゃった。
どうしてぺるみには嫌な態度をとっちゃうんだろう。
何をしても赦してくれるような感じがするからかな?
「ふふ。ツンデレさんかな?」
「ツンデレさん? なんだ? それ」
「ツンツンデレデレだよ。ふふ。スーたんは、かわいいね」
ツンツンデレデレ?
なんだ、それ?
「オレがかわいいのは、ぺるみに言われなくても知ってる」
また、嫌な事を言っちゃった……
今度こそ嫌われちゃうかな?
「うんうん。スーたんは、かわいいよね。それだけじゃなくて頑張りやさんの努力家だよ」
「……どうしてぺるみはオレを嫌いにならないんだ? オレは、ぺるみにだけ嫌な事を言うのに……」
「え? あはは! 嫌な事なんて言われていないよ。わたしは、むしろちょっと生意気でかわいい子が好物……あ、いや、大好きなんだよ」
ん?
今、好物って言わなかったか?
「今……好物って……」
「大好きなんだよっ!!」
……!?
オレの言葉を遮った!?
この慌て方……
何かをごまかそうとしているような……
気のせいか?
「何をそんなに慌てて……」
「ささ! 早く着替えないとねっ!」
明らかに何かをごまかそうとしているぞ?
そういえばベリアルが『ぺるみは変態だから気をつけろ』って言っていたような……
まさか……
ちょっと生意気でかわいいオレを見て興奮しているのか!?
「ぺるみは……変態……なのか?」
怖い……
訊くのが怖い。
でも、訊かないと心の準備ができないからな。
ぺるみは、なんて答えるんだ?
「……ふふふ。ばれちゃ仕方ないね」
……!?
なんて顔をしているんだ!?
悪党みたいだ……




