スーたんとぺるみの内緒話(2)
今回はスーたんが主役です。
「……別にいいんだ」
確かにかわいいって言われるのは好きだけど、それも種族の皆が喜んでくれるからかわいく振る舞っていただけだしな。
「え? そうなの? 『一番かわいい』って言われたいのかと思っていたよ」
ぺるみはそんな風に考えていたのか。
「別に……そうでもない。オレは……オレ達の種族は、ほとんど島から出なかったんだ。だから、種族の皆としか関わってこなかった。オレ達は最強の種族だけど、皆、本当は寂しいんだ。最強だからこその悩みだな。自分の強さで周りを傷つけるのが怖いんだ」
「でも、第三地区に来てからは変わったんでしょう? スーたんもスーたんの種族も第三地区にいる皆に甘えているし」
「今までは違ったんだ。オレ達は強いけど、いつ攻め込まれるか分からないから常に気を張っていて……そんな皆の唯一の癒しがオレだったんだ」
「そっか……ねぇ、スーたん?」
「ん? なんだ?」
「スーたんのやりたいようにやればいいんじゃないかな?」
「え?」
オレのやりたいように?
「もしスーたんが誰かを傷つけたらわたしが治癒の力で治すよ。だから、スーたんが寂しくて心が痛いなら一歩踏み出してみたらどうかな?」
「一歩踏み出す?」
「スーたんは、すごく頑張りやさんでしょう?」
「頑張りやさん……?」
「ベリアルがする踊りと歌を毎晩練習していたよね」
「……! 見ていたのか?」
「ふふ。誰にも言っていないよ。……スーたんはどうして皆からちやほやされたいの?」
「……え?」
「今なら本当の事を話してくれるよね?」
「……それは……オレが種族の中で……唯一の希望……だったからだ」
「唯一の希望……?」
「ずっと島から出ずに過ごしていたオレ達は……寂しかったんだ。だから、一番幼いオレを皆がかわいがった。オレがかわいい事をすると皆が喜んで……だから、オレは……皆を喜ばせる為にかわいく振る舞うようになったんだ」
「スーたん……」
「オレは……本当のオレは嫌な奴なんだ。皆から嫌われたくない、かわいくない事をしてがっかりされたらどうしよう。皆から嫌われて島から追い出されたらどうしようって……オレは島から出た事がなかったから不安で。だから弟か妹がいればオレへの期待がそっちに向かうんじゃないかって……こんな気持ちだから、海は弟か妹を運んでくれなかったんだな」
「……その気持ち……分かるよ。異世界の群馬にいた頃、その世界の人間達には見えない生き物がわたしにだけ見えたりしたの。だから、変な事を言って集落から追い出されたらどうしようってずっと考えていて……」
「え?」
異世界のグンマか。
時々第三地区の皆が話しているけど、詳しくは知らないんだよな。
「おばあちゃんとわたしは二人きりの家族でね。わたしがしっかりしないといけないって考えていたの。でも、おばあちゃんは悪い大天使から魔素で攻撃されて亡くなってね。わたしもその時魔素にやられて、色々あってこの世界に来たんだよ。……結局、わたしはおばあちゃんを守れなかったの」
「え?」
そうだったのか?
ぺるみはいつもヘラヘラしているから想像もできないな。




