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宰相とベリアル(2)

今回はベリアルが主役です。

「不思議ですね。ペリドット様は年をとらないのかと思っていたのですが、ずいぶん成長されていて驚きました」


 メガネの兄ちゃんの言う通りだな。


「オレも驚いたけど……まぁ、神にも考えがあるんだろ」


 本当はウリエルが変な事をしたみたいだけど、それは内緒だ。


「ピヨたん……ピヨたんが現れてからのわたしの人生は薔薇色に輝きました。本当にありがとうございます。今から始まるステージ……全力で応援させていただきますっ! この時の為にマクラメ嬢から、うちわなる物の作り方を習ったのですよ? 広場にいる人々もです。ご覧ください」


 え?

 メガネの兄ちゃんが広場の観客席を指差した?


 あ……

 すごい。

 皆がうちわを持っている。

『ヒヨコ様ありがとう』

『ヒヨコ様大好き』

『つぶらな瞳でこっち見て』

『お尻振って』


 ……?

 翼じゃなくてお尻を振るのか?

 まさか……

 この広場にいる人間……

 全員が変態なんて事ないよな?

 

「マクラメ嬢がうちわを大量に作っていたのですよ。それを今朝ピヨたん達がこちらに到着される前に配り、集まった観客がそれぞれメッセージを書いたのです」


「オレの為に……?」


「はい。こちらは市井の広場ですが貴族も大勢集まっています。プライドが山のように高い高位貴族達が男爵家のマクラメ嬢から熱心に作り方を習っていました。平民達も陛下の識字率向上の為の絵本で文字を覚え、自らあのメッセージを書いたのですよ?」


「平民と貴族が同じ物を作っていたのか? そうか。ぺるみが望む身分制度の無い世界に一歩近づいたのか」


「まだ先は長いでしょう。我らが生きているうちには何も変わらないかもしれません。ですが……ピヨたんを応援しようと一丸となっている人々の姿を見ると、一歩……本当に小さな一歩……前に進んだのだと……」


「メガネの兄ちゃん……」


 すごく嬉しそうだな。

 

「陛下が望む身分制度の無い未来を……生きているうちに見られたら……」


「……生きてるうちに?」


「ですが、それはきっと無理でしょう。まだまだ時間がかかるはずですから」


「身分制度は人間達に染み付いてるからな。簡単には消えないだろう」


「はい。ピヨたん……?」


「ん? なんだ?」


「どうか……ぺるみ様と共に、この世界から身分制度が無くなる瞬間を見届けてください。陛下とわたしの代わりに……」


「……?」


 メガネの兄ちゃんの代わりに?

 そうか……

 その頃には、ここにいる人間は皆死んでるのか。

 ……あぁ。

 胸が苦しいな。

 人間は魔族や天族と違ってすぐに死んじゃうんだ。

 せっかく仲良くなれたのに……

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