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堪忍袋の切れる音は『ぶちっ』だった

 広場に着くと公爵の話通り十代半ばくらいの男が定員にクレームをつけている。

 おぉ……

 モンスタークレーマーだね。

 相手はおばあさんか。

 しかもかなりの高齢に見えるよ?

 まさかおばあさんにまで暴力を振るわないよね?


「姉ちゃんあいつだよ! 昨日の奴だよ!」


 なるほど、平民相手に憂さ晴らしをしているっていう感じだね。

 抵抗できない、おじいさんとかおばあさんを狙って弱い者いじめをしているのかも。

 今日はアカデミーは休日だから昼間に嫌がらせに来たのかな?

 昨日、捕まらなかったから味をしめたみたいだね。

 ここで止めないと毎日嫌がらせに来そうだよ?


「ぺるみ。この人間のばあちゃんは優しくて好きだぞ? でも、あっちの悪い人間は嫌いだ。やっつけてやれ!」


 おばあさんに抱っこされたままのベリアルが怒っているね。

 ベリアルは人を見る目があるよ。

 さすがわたしのかわいいベイビーちゃんだよ!

 あぁ……

 あっちで絡まれている店主らしいおばあさんが震えているのが見えるよ。

 

「うん。任せて! ベ……ヒヨコちゃんはおばあさん達を守ってね? わたし、『アレ』をやるつもりだから、ヒヨコちゃんは『アレ』をしてね?」


「お前……『アレ』をするのか……怖……こっちは任せろ!」


 ふふふ。

 さぁ、お仕置きの時間だよ。

 でも、その前に謝罪と慰謝料を支払うつもりがあるのかを確認しないとね。

 ん?

 吉田のおじいちゃんが貴族の男を指差しながら口をパクパクしているね?

 何か伝えようとしている?

 貴族の心を聞いたのかな?

 えっと……

『な……ぐ……る……つ……も……り……だ?』


 殴るつもりだ!?

 おばあさんを殴るっていう事!?


「お貴族様、そのばあちゃんが作った物で腹を壊すなんてあり得ませんよ。完全に火が通ってるんですから」

「どうか赦してください」


 周りの店主達も貴族を止めようとしているね。


「うるさい! 平民ごときが貴族であるわたしに話しかけるな!」


 おぉ……

 典型的な貴族のお坊っちゃまだね。

 かわいそうに。

 おばあさんも店主達も震えているよ。

 こんな弱そうな奴、皆で袋叩きに……なんて考えたらダメだね。

 この世界では平民は貴族に逆らえないからね。


「貴族のわたしの権力の前にひれ伏して謝れば今日のところは赦してやろう。店は破壊するがな! ははは!」


 どこまで愚かなの?

 親の顔が見てみたいね。

 従者も呆れた顔をしているところを見ると、いつもこうなのかな?

 従者っていっても雇用されている立場だからね。

 止められないのか。

 それにしても、とてもお腹が痛いようには見えないよ。

 そんなにお腹が痛いならトイレに行かないと間に合わないよ?

 貴族がお漏らしなんて大変だよ?


「ぷはっ」


 吉田のおじいちゃん……

 わたしの心の声を聞いたんだね。

 

「おい! 誰だ!? 今笑ったのは!? 父上に頼んで処刑してやるからな! 平民なんか人じゃないんだ。いなくなっても誰も困らないからな!」


 ……今なんて言った?

 平民なんか人じゃない?

 もういいよ。

 謝罪の気持ちが無い事はよく分かったよ。

 お仕置きの時間の始まりだよ。

 泣いて謝っても絶対に赦してあげないから!


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