宰相とベリアル(1)
今回はベリアルが主役です。
ぺるみがマクラメに話しに行ったな。
やたら熱心に話してるけどなんて言ってるのかは聞こえてこない。
「ピヨたん……」
ん?
メガネの兄ちゃんが話しかけてきた。
確か、リコリス王国の宰相をしてるんだよな?
宰相って偉いのか?
寂しそうにオレを見つめてるけど……
「どうしたんだ?」
いつもはオレを抱っこしたりキャラメルをくれたりするのに、今日は四大国の王達がいるから順番が回ってこないのか。
「キャラメルをたくさん用意しましたのでよろしければ召し上がってください」
「キャラメル!? うん! いつもありがとう!」
もう、これで最後だからちゃんとお礼を言わないとな。
「ピヨたん……あぁ……寂しくて寂しくて……昨夜は一睡もできませんでした」
「そうだったのか……」
そんなにオレの事が好きだったんだな。
「ピヨたんのぬいぐるみ……生涯の宝にします」
「そうか……オレもメガネの兄ちゃんの事、絶対に忘れないからな」
「ピヨたん……ぐすっ」
「泣くな……オレまで泣きたくなっちゃうだろ?」
「はい……ピヨたんに、よく似た赤ん坊を必ずや授かってみせます!」
「ん……? オレはヒヨコだからな。オレの姿に似るのは無理だろうけど、アメリアとメガネの兄ちゃんの子なら絶対にかわいいぞ!」
「ピヨたん……あぁ……世界の宝……世界中の人々から、赤ん坊のように愛される存在」
「まぁ、オレはかわいいから愛されるのは当然だけど、そこまで言われると恥ずかしいな」
「どうか、お幸せに……毎日お菓子に囲まれて大切な人々に愛されて……笑顔でお過ごしください」
「うん。分かったよ。メガネの兄ちゃんも仕事が大変だろうけど頑張れよ。いや、違うな。頑張り過ぎは良くないから身体を休めながら無理をしないようにしろよ?」
「ピヨたん……はい。ありがとうございます……それから……」
「ん? なんだ?」
「ペリドット様を……これからもよろしくお願いいたします」
「……? え? ぺるみを……?」
「どんなに辛くても悲しくても疲れていても、ピヨたんさえいれば癒されるのですから」
「そうなのか? オレにはよく分からないけど」
「ペリドット様は、これから多くの別れを繰り返すはずです。その時が来たらピヨたんにはペリドット様を支えていただきたいのです」
「……! そうだな。ぺるみは……て……」
天族なのは内緒にしないとな。
今のぺるみの身体は神から授かった設定になってるから気をつけて話さないと。
「ペリドット様は……?」
「神から授かった身体だからな」
これでいいんだよな?
間違えてないよな?
 




