どうしよう……満腹で動けないよ
今回はベリアルが主役です。
「ん? マクラメ? ステージって……ああっ! 忘れてた! 今からステージがあるんだった!」
どうしよう。
お菓子の事しか考えてなかった。
うぅ……
お腹いっぱいで動けない。
だから、さっきぺるみが食べ過ぎを心配してたのか。
今もアルストロメリア王に抱っこされながらお菓子を食べる翼が止まらないし……
止まれ!
オレのパンみたいなかわいい翼!
止まるんだ!
……ダメだ。
お菓子が旨過ぎて翼とくちばしが止まらないよ!
マクラメが大急ぎでステージの準備をしてるけど……
どうしよう。
このままじゃ、満腹でステージの真ん中に仰向けに寝転がるオレの姿を人間達に見せる事になっちゃうよ。
「ヒヨコちゃん……大丈夫? まさか、満腹で動けないとか?」
ぺるみが心配そうに話しかけてきたけど……
かわいい……
って、そうじゃなくて!
「うぅ……どうしよう」
「少し運動してみたら? いつも、すぐにお腹が空くでしょう?」
「うぅ……そうしてみる」
その辺を飛び回れば満腹じゃなくなるかも。
よし!
飛んで……
あれ?
身体が重くて飛べない……
どうしよう。
『見守る者』として人間達に世界を大切にしろって伝えないといけないのに。
「ヒヨコちゃん? 飛べないの? 苦しい?」
「……どうしよう。今日の為にマクラメは会場で使う物を、先生は衣装を作ってくれたのに。二人の頑張りをオレが台無しにしちゃうんだ……」
「ヒヨコちゃん……大丈夫だよ。落ち着こう。一生懸命練習してきたんだから絶対に大成功するよ」
「大成功?」
「うん! 飛ばなくてもお腹を空かせる方法があるんだよ」
「え? そうなのか?」
「うん! 水泳だよ!」
「スイエイ?」
「バシャバシャ泳ぐの!」
「え? でも、ここには海がないし……」
「大丈夫! こんな事もあろうかと、たらいと貝殻ビキニを持ってきていたんだよ! ぐふふ」
「……ぺるみ。お前……天才だなっ!」
すごいよ!
ぺるみは未来が見えるみたいに先の事が分かるんだな!
ニヤニヤ変態顔なのが気になるけど……
「ふふ。貝殻ビキニを着させてあげるから。あ、その前に、ちょっと待ってね。マクラメと話してくるから。さすがに運営に訊いてからじゃないと……」
「ん? マクラメ?」
それにウンエイってなんだろう?
グンマの言葉かな?
「ステージの端で泳いでもいいか訊いてくるね」
「え? ああ、確かにここでバシャバシャしたら皆の服を濡らしちゃうからな」
四大国の王達の服は高そうだから濡らしたら弁償する事になるかも。
でもオレは人間の金貨を持ってないからハデスが代わりに払う事になるはずだ。
そうなるとぺるみが身体で返せって言ってオレの事を無理矢理吸うに決まってるんだ!
ぺるみは変態だからな。




