ベリアルとペルセポネ(1)
「これが、うさちゃんが昼寝する島か……」
ベリアルが『愛の島』改め『うさちゃんがお昼寝する島』を見て呟いたね。
もしかして羨ましいのかな?
「ベリアル、おはよう」
「ん? んん!? ぺるみか!? デメテルかと思った」
ベリアルがわたしを見て驚いている。
昨日、天界でうどんみたいな木の実を注入されて成長したからね。
もしかしたら身体中痛いのはそのせいもあるのかな。
「天界で色々あってね。成長したの。でもお母様よりは小さいよ」
「色々って……何があったらそんな事になるんだよ」
「まぁまぁ。深く考えないんだよ。ところで、ベリアルも一人で暮らす島が欲しいの? やっぱりお年頃だし、見られたくない物もあるよね。ぐふふ」
「うわ……何を想像してるんだ? 気持ち悪……オレは一人で暮らす島なんていらないし。一人なんて寂しいからな。それにしても、ベリス王はうさちゃんの事が大好きなんだな。この高級そうな家具はベリス王の店の物だよな?」
今ベリアルがわたしを気持ち悪いって言ったような……
気のせいだよね?
「ベリス王女の事があってから仲良くなったみたいだよ」
「もちろんハデスが支払ったんだろ?」
「よく分かったね」
「いくら、ベリス王がうさちゃんの事を好きでもタダのわけがないからな」
「そうなんだよ。わたしとハデスの為にウリエルが勝手にこの島を創ってね。その家具をベリス王に頼んだらしいの。昨日いきなりウリエルから請求書を見せられて……金貨千枚なんて驚いたよ」
「金貨千枚!? この家具だけで!? さすがベリス王だな」
「うん。家の建築費とかも込みかと思ったんだけど、どう見てもウェアウルフ族が建てた家だし。この家具だけで金貨千枚なんてぼったくりだよ」
「ハデスに無断で島を勝手に創ったあげく、家具を運び込んで支払いをさせた後にうさちゃんの島にしたのか」
「ベリス王には呆れちゃったけど、ハデスはうさちゃんに島を譲るつもりらしくて。いつも口喧嘩ばかりしているけど、うさちゃんの事がかわいいみたい」
「ハデスは怖いけど本当は優しいからな」
「あはは。そうだね。ベリアルもハデスの優しさを分かっていたんだね」
「まあな。遥か昔は天界でハデスの側付きをしてたからな。……ん? なんだ? このガラス細工。鳥か?」
ベリアルも、このガラス細工が気になるんだね。
「ああ。それベリアルらしいよ?」
「え!? これがオレ!?」
驚くのも分かるよ。
ベリアルにしては細いからね。
吉田のおじいちゃんが言うには作っている時にガラスが伸びちゃったらしいけど……
失敗したからベリス王が誰かにあげようとしたら、うさちゃんが欲しがったんだよね?
でも、さすがに失敗していらないやつをベリス王が誰かに押しつけようとしていたなんて言えないよ。




