吉田のおじいちゃんとペルセポネ(3)
「そうか、そうか。大好きなハデスちゃんが騙されるのが嫌なんか。ぺるぺるは、かわいいなぁ」
吉田のおじいちゃんが優しく微笑んでいるね。
「……ハデスはずっと苦労してきたから誰かに騙されたりする姿を見たくないんだよ」
「そうだなぁ。ハデスちゃんは闇に近い力のせいで天界でも苦労してきたみてぇだからなぁ」
「ハデスは、いつも誰かの為に行動していて、すごく優しいんだよ。だから、これからは毎日穏やかに過ごして欲しいの」
「そうだなぁ。でも、確かにやり方はダメだけどベリス王の品物は最高だ。いつも、真剣に物作りをしてるからなぁ」
「……それも分かるから強く言えないんだよ。ベリス親子は、ちゃっかりさんだけど商売に対しては常に誠実だからね」
「まぁ、ハデスちゃんが搾り取られたらまたじいちゃんが新しい金山を創ってやるから赦してやってくれ」
「金貨の問題じゃないんだけど……」
「ハデスちゃんは、ぺるぺるやうさちゃんを想って金貨を使ってるんだ。ベリス王だってその時必要な物をハデスちゃんに用意するんだから、それでいいんじゃねぇか? ハデスちゃんだって、いらねぇ物までは買わねぇだろ」
「それもそうだね。お母様にも同じ事を言われたよ。ダメだね。わたしはハデスの事になると冷静になれなくて」
「それだけハデスちゃんを好きって事だろ。本当にぺるぺるは、お姉さんになったんだなぁ」
「ねぇ? 吉田のおじいちゃんは、おばあちゃんの為なら何でもできる? ほら、お母様はお父様のお世話が大変だけど嫌そうじゃないでしょ?」
「ははは! そうだなぁ。じいちゃんはお月ちゃんの為なら何でもできるぞ。心から大切な存在だからなぁ」
「そっか。えへへ。安心したよ」
「んん? 安心?」
「これもお母様に言われたの。わたしがお父様とお母様よりもハデスを好きになるのは寂しいけど、ハデスになら安心して任せられるって」
「そうだなぁ。確かにハデスちゃんになら、かわいいぺるぺるを安心して任せられるなぁ」
「わたしも同じ気持ちだよ。吉田のおじいちゃんだから大切なおばあちゃんを任せられるの」
「ぺるぺる……」
「えへへ。わたしは吉田のおじいちゃんの事もおばあちゃんと同じくらい大好きだから……これからもおばあちゃんをよろしくお願いします」
「……ああ。これからは絶対にお月ちゃんを泣かせたりしねぇ。もう、絶対に。だから、ぺるぺるも安心して幸せになるんだぞ」
「うん。ありがとう」
吉田のおじいちゃんと微笑み合うと気持ちが穏やかになるのが分かる。
皆が幸せに向かっているのを感じて嬉しくて堪らない。
色々あったけど……
辛い過去を乗り越えてきたから、今の幸せのありがたみを痛感するよ。




