吉田のおじいちゃんとペルセポネ(2)
「うさちゃんが? ベリアルの事が好きじゃないみたいなのにどうしてガラス細工を欲しがるの?」
「んん? うさちゃんはベリアルの事が好きだぞ」
うさちゃんがベリアルを好き?
吉田のおじいちゃんが言うのなら、そうなのかな?
でも……
「そうなの? いつもチビヒヨコとか言って泣かせているから好きじゃないのかと思っていたよ」
「ベリアルはオケアノスが創り出した心だからなぁ。むしろ好きなんだと思うぞ? ただ、大好きなぺるぺるに抱っこされたりするベリアルに嫉妬心があるみてぇだなぁ」
「嫉妬か。そうだったんだね」
「それにしても、『愛の島』はうさちゃんの昼寝部屋になりそうだなぁ」
「『愛の島』っていう呼び方……変えたいんだけど」
「そりゃ、ウリエルに失礼だろ。ぷはっ!」
「もう! また笑ったね!?」
「『うさちゃんの昼寝部屋』とか『昼寝島』でいいんじゃねぇか? 『愛の島』なんて言ってる方も恥ずかしいからなぁ」
「やっぱりそうだよね。ウリエルは、わたしとハデスの赤ちゃんの事で頭がいっぱいなんだよ。そうじゃなきゃ、そんな恥ずかしい呼び名にはしないはずだし」
「いかがわしい店みてぇな名前だからなぁ。ぷはっ!」
「おじいちゃんは、ずっとご機嫌だね。わたしは昨日から、からかわれてずっと恥ずかしいんだけど」
「まぁ、いいじゃねぇか。ぺるぺるもお姉さんになったって事だ」
「ところで……うさちゃんの昼寝島にある家具って本当に金貨千枚の価値があるの?」
「んん? まぁ、物の価値なんてあって無いようなもんだろ? ぺるぺるの考える常識的な金額ってやつも所詮は誰かが決めたもんだからなぁ。ベリス王が金貨千枚って言うなら千枚なんだろ?」
「うぅ……そう言われちゃったら言い返せないけど……でもやっぱり金貨千枚は高過ぎるよ」
「仕方ねぇさ。うさちゃんは気に入ってるんだろ? 今さらベリス王に返品なんてしたらかわいそうだ。それに、使っちまった物をあのベリス王が返品なんてさせねぇさ」
「それはそうだけど……」
「ハデスちゃんも支払うって言ってるんだろ?」
「うん……」
「ぺるぺるはハデスちゃんがベリス王に騙されて金貨を搾り取られるのが嫌なんか?」
「金山は吉田のおじいちゃんがハデスに見つかるようにして創っているんでしょう?」
「全部お見通しか。さすがぺるぺるだなぁ」
「誰が考えたって分かるよ。そんなに都合良くハデスの目の前に金山が現れるわけないし。いつも誰かの為に金貨を使うハデスに、おじいちゃんが協力しているんだよね?」
「まぁ、そうだなぁ」
「元々おじいちゃんが創った金山だから、わたしがとやかく言うのは変かもしれないけど……やっぱりハデスが騙されるのは嫌なんだよ」
しかもいつもわたしのせいで騙されているから、申し訳なくなっちゃうんだよね。




