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吉田のおじいちゃんとペルセポネ(1)

「はぁぁぁ……」


 二日続けて身体が痛い。

 ハデスもわたしも、あのうどんみたいな木の実のせいで大変な目に遭ったよ。

 次からはウリエルに気をつけないとね。

 それにしてもハデスは一滴しか飲んでいないはずなのにかなり強く媚薬が効いたみたいだ。

 わたしは一本丸ごと鼻に注入されたからまだ頭が冴えているよ。

 まさか……

 ウリエルはハデスにも丸ごと使ったんじゃ……


 とりあえずハデスを起こさないようにベットから出ないと。


 うーん。

 でも、もう少しだけハデスに抱きしめられたままベットにいたいような……

 あと五分だけこのままでいようかな。


 ん……?

 外が賑やかだね。

 パパ達が帰ってきたのかな?

 それとも第三地区の皆がうさちゃんのいる島を見に来たとか?

 今は……

 まだ四時半か。

 誰が騒いでいるんだろう。


 ハデスを起こさないようにゆっくりベットから出ると……

 うぅ。

 昨日より身体が痛いかも。


 家の外に出ると、少しだけひんやりとした風が吹いている。

 常夏の幸せの島も朝晩は涼しいんだよね。


「お? ぺるぺるは起きられたんか」


 吉田のおじいちゃんがニヤニヤしながら話しかけてきた。

 それってハデスと仲良くしていたのに起きられたのかっていう意味だよね?

 あ……

 第三地区の皆も来ていたんだ。

 皆でうさちゃんがいる島の見物をしているよ。

 

「今日は魔術戦があるから早く起きないとね」


 他の返事が思い浮かばないよ。

 絶対ハデスとの事を知っているはずだし。


「ぷふっ。そうだなぁ。朝だから起きねぇとなぁ。夜は寝るもんだしなぁ」


 これは、からかう時の顔だね……

 絶対におもしろがっているよ。


「もうっ! 変な目で見ないでよ! それで? 皆は幸せの島で何をしているの?」


「ああ。『愛の島』を見に来たんだ」


「『愛の島』……その呼び方なんとかならないかな」


「ん? 何でだ? ぺるぺるとハデスちゃんの『愛の島』だろ? ぷはっ!」


「もうっ! 絶対からかっているよね!?」


「んん? そんな事はねぇぞ。ぷふっ」


「さっきからずっと笑っているでしょ!? もう!」


「まぁ、そう怒るな。かわいい顔が台無しだぞ?」


「すぐに、ごまかすんだから。それより……実験が成功したみたいだね」


 こんなに、すんなり上手くいくなんて……

 

「ああ。そうだなぁ。いきなり天界でこんな事はできねぇからなぁ。それに小さい島で成功しても、まだ天界でやるにはなぁ」


 ニヤニヤ笑っていたけど真剣な表情になったね。


「うん。失敗したら大変だから……」


「まぁ、気長にやればいいさ。まだ神力の光は、なくならねぇからなぁ」


「慎重にゆっくり進めないといけないよね」


「そんなに思い詰めるな。疲れちまうぞ?」


「心配してくれるんだね。ありがとう」


「かわいいひ孫だからなぁ」


 かわいい……か。

 そのわりにいつも、からかってくるよね?

 あ、そうだ……


「『愛の島』にあったあのガラス細工ってモデルは誰なの?」


「ん? ガラス細工? ああ。ありゃベリアルだ」


「……!? ベリアル!? 全然体型が違うよ!?」


「ベリス王がいろんなベリアルグッズを考えてた時に、たまたまできた物みてぇだぞ。作ってる最中にガラスが伸びちまったらしくてなぁ。ベリス王が失敗作だって持ってきたんだ。誰か欲しい奴にやるって言ったらうさちゃんが欲しがってなぁ」


 うさちゃんが?

 ベリアルとは仲が悪いと思っていたけど……

 ん?

 じゃあ、まさかハデスが買ってくれた世界に五つしかないベリアルのガラス細工と同じ物なの!?

 全然違う物に見えるよ。

 

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