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愛の島って名前、なんとかならないかな(5)

「細工を?」


 吉田のおじいちゃんが?

 っていう事は……

 あれだよね?


「はい。この辺りの海水にはぺるみ様の神力が溢れているようなのです。その神力を吸収して浮遊するように細工したようですよ」


 ベリス王がいつもの作り笑顔で教えてくれたけど……


「やっぱり……」


 アカデミーが終わったら小さい浮遊島を創って実験するつもりでいたけど……

 吉田のおじいちゃんはもう始めていたんだね。

 今、天界を浮かせている神力をほんの少し持ち出して小さい島に埋め込んで、そこにわたしの神力を流し込んでも爆発したりしないかの実験……

 もしかして、上手くいったの?

 そうじゃなければ、うさちゃんとベリス王をこの島にいさせるはずがないし。

 だから、吉田のおじいちゃんは、ずっとご機嫌だったんだね。

 もしかしたらわたしの神力を天界の隠し部屋の光に入れ込めるかもしれない。

 そうなれば、天界はずっと浮遊できておばあちゃんは苦しみから解放されるんだ。


「ペルセポネ……」


 ハデスも気づいたみたいだね。


「うん……えへへ。良かった……本当に良かったよ」


「あぁ……そうだな」


 ハデスと微笑み合うと心が温かくなる。

 これでおばあちゃんは穏やかな気持ちで暮らせるんだ。


 こうやって、ひとつずつ乗り越えていけば……

 皆が幸せに暮らせる世界が訪れるのかな?


「何か良い事があったようですね。ですが、急ぎませんと朝が来てしまいますよ」


 ベリス王がいつもの作り笑顔で話しかけてきた。

 でも、何があったのかは訊かないんだね。

 まぁ、勘の良いベリス王なら薄々分かっているかもしれないけど……


「そうだね。ハデス、行こうか」


 ハデスに右手を伸ばすと、しっかりと握ってくれる。

 温かい手だ。

 熱いくらいだよ。


「よし。行こう。わたし達の家に」


「ふふ。『わたし達の家』か。そうだね。ずっと一緒に暮らしてきたわたし達の家だね」


 イフリート王子に焼かれて建て直しはしたけど、幸せの島のあの家はわたしとハデスの大切な家なんだ。


「それでは、良い夜を……」


 ベリス王がうさちゃんの眠る家に歩いて行ったね。

 騙されはしたけど、悪い魔族じゃないんだ。


「ペルセポネ……我らも行こう」


 ハデスの優しい瞳に見つめられてドキドキする。

 今夜も昨日みたいに……

 また身体中痛くなりそうだね。

 でも……


「ハデス……?」


「……なんだ?」


「大好きだよ」


「ペルセポネ……」


「遥か昔のハデスも『じいじ』だったハデスも、今のハデスも大好き……」


「……ペルセポネ。わたしもだ。ずっとずっと……昔も今もこれからもペルセポネだけを愛し続ける」


 ゆっくり近づいてくるハデスの顔にドキドキしながら瞳を閉じる。

 あぁ……

 温かいハデスの唇……

 優しく抱きしめられると頭がクラクラする。

 うどんみたいな木の実のせいで覚醒しているからかな?



 こんなに全てが上手く進むなんて、なんだか怖いよ。

 今までが茨の道だったからそう思うのかな?

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