いつまでもお母様の事が大好きだよ
「ペルセポネ……ありがとう……」
お母様の瞳から涙が溢れそうになっている……?
わたし……お母様を泣かせちゃったの?
「ごめんなさい。何か嫌な事を言っちゃったのかな?」
「違うの……違うのよ。こんなに立派に育ってくれて嬉しくて……」
「立派……?」
わたしは全然立派じゃないけど……
「大好きよ。これからもお母様はペルセポネを愛し続けるわ。でも……ペルセポネの一番はお母様じゃなくて、ハデスになるのね」
「お母様……?」
「それでいいの。それでいいのよ。子は親から離れていくものだから。分かっているの。分かっては、いるの。でも……やっぱり寂しいわね。赤ん坊の頃からペルセポネの一番は、お父様とお母様で……それが終わる時が来たのね」
「そんな……わたしは、これからもお父様とお母様の事が大好きだよ?」
今までと何も変わらないよ……
「ふふ。ありがとう。寂しいけど……嬉しいのよ。ハデスは信頼できる弟だから、絶対にペルセポネを幸せにしてくれるわ」
「……うん」
ハデスはすごく素敵だよ。
少し不器用だけど誰よりも優しい心を持っているんだから。
わたしには、もったいないくらいだよ。
「幸せに……誰よりも幸せになってね」
「うん! 今でも怖いくらい幸せだけど、もっともっと幸せになるよ」
「ふふ。そうね。ハデスとペルセポネなら絶対になれるわ。『愛の島』の場所はウリエルからハデスが聞いているから……」
「うん。『愛の島』なんて恥ずかしい名前だけど……いってきます!」
「本当に大きくなったわね。いつまでも赤ん坊のままだと思っていたのに……いってらっしゃい」
お母様に優しく髪を撫でられると心が温かくなる。
それにしても、ハデスは何杯お茶を飲んだのかな?
「ハデス……大丈夫?」
「あぁ……大丈夫だ」
全然大丈夫そうには見えないけど……
またお茶のおかわりをしようとしているね。
「『愛の島』に行こう?」
「……!? 『愛の島』……」
ハデスの顔が真っ赤になっている?
お茶を飲み過ぎて身体が熱くなっちゃったのかな?
「これ以上お茶を飲んだら身体に良くないって、お母様が心配しているよ?」
「デメテルが?」
「だから二人で『愛の島』に行きなさいって……」
「……そうか。あぁ……わたしはダメだな。まるで自制が効かないのだ……」
「自制が効かない……?」
ハデスでもそんな事があるんだね。
「では……行くか。『愛の島』に……」
「うん!」
今夜はハデスと二人で過ごすんだね。
うぅ……
ドキドキしてきたよ。
って思っていたのに……
忘れていたよ。
『愛の島』は『人間と魔族の世界』にあるという事を……




